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『吉祥寺大正通り商店会』

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『毎日夫人』

先日毎日新聞折り込みの小雑誌『毎日夫人10月号』に当店が紹介されました。

ーーー<ちょっと寄り道味な店no19>ーーー
和洋中 みその魅力を伝える 「ソイビーンファーム」

 

『第39回吉祥寺秋祭り』

来る9月10日(土)11日(日)は第39回吉祥寺秋祭りが行われます。

武蔵野八幡宮神輿をはじめ11の神輿が吉祥寺の街を
ところ狭しと練り歩きます。

大正通り商店会も参加します。
神酒 所が東急デパート西広場に設営されます。

私は例年通り御幣でお神輿の先頭で歩きますが、
多分神酒所にいる予定です。
遊びに来てください。

秋祭り

神輿総覧ー1

携帯電話がない時代

今は携帯電話もスマートフォンが主流になってしまって、
電話だか、パソコンだか分からなくなってしまいました。
買い換えてみてもいいかなとは思いますが どうせ使いこなせないし
たぶん今以上(通話かメール)に利用はありえないので今ので充分でしょう。

でも25年前はそんなものもありません。
デパートの営業であちこち回りながら、
よく使う公衆電話の場所はたいてい覚えていました。

以前、内線電話を使う女子社員を眺めながら、
昔を思い出しながら書いた文です。

 

『携帯電話のない時のデートの約束』

 

今は誰しも携帯電話持っていて
簡単に何処でも誰とでもそしていつでも連絡取り合うことが出来、
全くもって便利になったものです。

でも今から25年くらい前、そんな便利な物はありません。
全てが仕事場、自宅そして公衆電話と言う固定された電話機からしか
連絡は取れませんでした。

でも当時はそれが当たり前で何の不自由さも感じませんでした。
例えばこんなことも。

 

「ようごくろうさん、仕事がんばってるみたいだな、味噌の売り上げも伸びてるし、
たまには一緒に昼飯でも食うか?」

デパートで使っているアルバイト学生に声掛けた。

「やったあ、ありがとうございます。それから、売り場は違うんですけど、
知ってる子いるんで連れてっていいですか?」

「いいよ。じゃあこの前行ったことある中華料理屋に先行ってるから、後で来いよ。」

 

バイトが連れてきた子はなかなかかわいい子、
デパートで働くだけあって受け答えもしっかりしていて、愛想もいい。頭も良さそう。

「かわいい子じゃないか、彼女?」

「いえ、違います。同じ大学なだけです。彼女洋菓子売り場にいるんです。
一度おみやげにでもチョコかクッキー買ってやってください。」

それぞれランチ定食を頼んで、他愛も無い事喋りながら一時間が過ぎ、
バイトがトイレに行っている時、誘ってみた。

「今日仕事は何時に終わるの?もし暇なら晩御飯でも食べようか?」

「えっ語馳走してくれるんですか、嬉しい、はい大丈夫です。早番ですから5時です。」

意外とすんなりOK

「じゃあ後で売り場に電話入れるよ。」

「お願いします。」

 

今ならアドレス聞いて、「じゃあとで携帯にメール入れておくから。」で終了。
でも当時そうは行かない。

公衆電話へ行ってまず、お目当てのレストランに電話。
今晩の予約が取れるかを確認する。

首尾よく取れました。

今度は彼女の働くデパートの代表番号に電話、

「地下食品の洋菓子売り場お願いします」

交換台の女性が言う、《お電話お回しします、そのままお待ち下さい。》

そして《お電話ありがとうございます、地下食品洋菓子売り場担当小山と申します》

「恐れ入ります、バイトの中田さんお願いします。」

《少々お待ち下さい。》

デパート食品売り場女子社員小山さん受話器を右手の平で押さえると、

「中田さん、電話よ!」

“私用電話はダメって言ってあるでしょ、”
言いたげに、にらめつける様に、受話器を渡す。

《はい、お電話代わりました、中田です。》

「あー、もしもし先ほどの味噌屋です。」

《はい、どうも先ほどは、ありがとうございました。》

「予約取れました。時間7時で大丈夫ですか?」

《はい大丈夫ですが場所は?》

「7時に地下鉄広尾駅でどうですか?
出口が2箇所ありますから六本木に近い方の出口
改札出た辺りで待ってます。分かりますか?」

“ひょっとしてデートの打ち合わせ?
ったくしようがないわね、これだから若い子はイヤよ、
仕事用の電話でいちゃいちゃ。ちょっと可愛いとこれだよ、
注文の電話が入ったらどうすんの、
仕事にならないじゃないの、早く切りなよ”

年配女子社員の小山さん、ちょっとばかりおかんむり。

それを察してか、バイトの中田さん、

《はい、分かります、》ちょっと合間を置いて

《じゃあ、その見積の件につきましては当社係長が戻りましたら、
その旨伝えておきます、ありがとうございました。失礼します。》

なんて言うもんだから、への字になっていた小山さんの顔、
“なんだ仕事の話か、じゃあしょうがないか、”
なんて元の笑顔に戻るという訳。

公衆電話の受話器を戻しながら、

この子やっぱなかなか頭いいんじゃない、
そう思いながら今日のデートがより楽しみになったりして、、、

 

電話の使い方、応対の仕方、周りへの気配り、
今の携帯ではとてもできない、考えられないちょっと奥深いものがあったりして、

それはそれなりに面白い所がありました。

 

 

 

 

 

 

 

味噌の話

赤出し味噌の話

昔から、口紅を塗ったり、ほほに頬紅を叩くことを、
<紅を注(さ)す>と言います。
つまり赤い色を加えるのを、赤(朱、紅)を注す(さす)と言った訳です。

京都では甘い白味噌が主流ですが、桜味噌の様に赤い(濃い茶色)
味噌で仕立てた味噌汁もあります。
お碗に盛った濃い色の味噌汁のことです。

それが、赤色を加えるというので
赤をさす→あかさす→あかさし→あかざし→→あかだし→赤出し
となって、お碗に盛った料理だったのが、
いつの間にか味噌の名前になっていました。

そもそも桜味噌は京都の白味噌に愛知の豆味噌(八丁味噌)を
ブレンドして作った味噌です。

そこから愛知の味噌屋さんが自分達で同じような味噌(調合味噌)
を作って、それを『赤出し味噌』と称して売り出し、今に至ったのです。

――――生前父が私に話してくれたのを思い出して書いてみました。

そう言えばかなり前ですが、京都の料理の先生が
「赤出し用味噌」と言っていたのをTVで見た記憶があります。
ーーーさすがプロ、よく分かっていらっしゃる。


余談ですが、本来『八丁味噌』とは愛知県岡崎市八帖町に
500年以上前からある味噌屋2軒のみが使えた豆味噌の名前でした。

大豆だけを使い、これを麹にして塩を入れて仕込みます。
2年半は熟成させます。
水分が少ないため4t仕込めばその半分位の重さの石を乗せます。
古い歴史を持つ愛知の代表的な味噌です。

因みに現『㈱まるや八丁味噌』の蔵には豊臣秀吉が子どもの頃

―――悪ガキだった秀吉が野武士に追われてこの蔵に逃げ込んで
(八丁味噌は仕込みに5kg位の丸い平べったい石を何十個も使うので
蔵には石がごろごろ積んである)

その石を一つ井戸に投げ込んで、あたかも自分が井戸に飛び込んだ
様に見せかけて、実は味噌桶の陰に隠れて追っ手を逃れた、―――

という、いわくつきの井戸がまだあったりして、
それはそれは歴史を感じさせてくれます。

 

ーーーーその㈱まるや八丁味噌の社長浅井氏とは古いつきあいですが、
口髭を蓄えドイツ語英語を喋るユニークな人でTVにもよく出ています。
いずれ詳しく紹介します。

 

 

 

『見知らぬ明日』

『見知らぬ明日』

 

「今度、北海道にラベンダーを見に行きませんか。」

「今が一番いい時期で、見渡す限りにラベンダーが咲き誇って、
正に花で織り成す刺繍といったところかな。」

<行ってみたーい、きれいだろうな。>

そもそもその人と食事をするようになったのは、
ゴルフ練習場でフォームを直してもらったのがきっかけで、
一緒に食事をして、その後も何度も誘われたのだ。
30過ぎかな、結構かっこういい。

学生時代から付合っている彼が転勤で大阪に行ってしまったので
なかなか会う機会がなくなってしまった。
悪いなあと思いながらもおいしい食事に誘われると断れない。
でも食事のその後はなしと決めていた。

最初の食事は、六本木のフランス料理。
「じゃ、あなたと、ぼくの見知らぬ明日に、乾杯!」

<なんてきざな>とは思ったものの、
「お酒は、とりあえず前菜までは、このシャンパンで、
サーモンの香草焼きにはロワールの白のプイィフィメ、」

「そして羊料理には、赤、ボルドーのシャトーラグランジェか、
同じくメドックのポーイヤックあたりにしましょうか。」
なんて分かった風な口のきき方。

しかしまんざら嘘でもない。おいしいワイン、料理にぴったり合う。
イタリア料理の後には、消化に良いからとグラッパを勧めてくれたりもした。

話題豊富で話も上手、思わず身を乗り出して聞いたり、
吹き出して笑ったり、確かに楽しい。
さりげなくエスコートしてくれて、彼にはない気配りがある。
それがなんとも心地よい。
食事の後は必ず家の近くまで送ると言ってきかない。 

でも、いつもご馳走になってばかりじゃ気がひけるので、私が誘った。
学生時代からよく遊びに来ていたこの中央線の街は人で溢れていた。


店までの道すがらこう誘われたのだ。
<北海道か、いいだろうな、でも富良野一泊!>

店内は女性客でいっぱいだった。
「へぇー味噌なの、ロールキャベツのスープの味を選べって?
うーん赤味噌、白味噌、僕の母は関西だからよく甘い白味噌を使ってたな。
おもしろいね、おいしそう。」

「昔さ、学生時代よく皆で鍋に色んな物入れて味噌と一緒に煮て、
わいわい騒ぎながら 、、、、   」

話を聞いているうちに急に彼のこと思い出してしまった。
「北海道さ、やっぱ行けない。ごめんね。」

今度の週末久しぶりに大阪行こう。
彼のきたないアパート掃除して、晩御飯一緒に食べよ。
そうだここで松葉味噌買って行って、ブイヤベース作ってやろう。

ワインはーーーーやっぱ白かな、でもカリフォルニア産。


―――さすがタイトルは良かったのですが、内容がイマイチ?
そうね、男女の恋愛の始まりも<見知らぬ明日>には違いないけど、、、

見事振られてしまったゴルフ男、彼の苦し紛れの言い訳を後ほど、、、

―――以前は松葉味噌のブイヤベースをメニューに出していました。
いずれ復活させようと思います。

『小松左京』

『小松左京』

 

昨日SF作家の小松左京さんが亡くなりました。
大変残念です。
私の日本での大好きな作家の一人です。

『日本沈没』『首都消失』『さよならジュピター』『復活の日』等等
みんな映画になりましたが、そうでなくても小さな作品で素晴らしい小説がいっぱいあります。

文庫本の『小松左京自薦恐怖小説集』これなんかいいですよね。
SF小説の発想も人並み外れたものがありますが、
女性の描写は天下一品です。

 

こんな大作家が亡くなったのに、3軒回ったどこの本屋も
<小松左京追悼コーナー>を出してないことが意外です。
まだ一日ですから、間に合わないのは解りますが、それらしきビラとか
出してもいいんじゃないかと思います。
JUNNKU堂は近々コーナーを設けるって言ってました。

ファンになったのは、大学1年の時先輩から借りた週刊誌に連載されていた
『見知らぬ明日』を読んでからです。

当時ソ連と中国が国境を挟んでいざこざがあった時分です。
そこに地球外生物がやってきて攻撃を始めるものだから、
ソ連も中国もお互い敵が攻めてきたと勘違いして
両国が戦争を始め出す訳です。
それを取材する日本人ジャーナリストを軸に話が進みます。

ところが地球外生物の火器があまりに強力で歯が立たない。
さてはて地球の明日はどうなっちゃうんだろう———-

なんてストーリーだったと思いますが、
その、<まだ見ぬ明日><見知らぬ明日>っていうのが鮮明に残っていて、
全然内容は違うのですが、ずーーーっと後に書いた私の文のタイトルに使いました。

地球の自転を止めてしまう『夜が明けたら』
人の体と牛の顔を持った『件(くだん)の母』等短編作

タイトルは忘れましたが、
京都のある女性を父と息子が同時に好きになる話、
天然記念物の鳥の餌にされる話。
どこにでも現れる宇宙蠅。

とんでもない発想を緻密な表現力で書き上げる独特の文章は今の作家にはない
スケールの大きさと日本古来の懐かしさみたいなものを感じます。

 

ご冥福をお祈りします。

 

 

 

『三越で』

以前新宿三越に出店していた時、
お子様連れのおかあさんがいらっしゃって、
『えーーっ懐かしいここに出来たんだ。』
と言われるのを聞いて、書いておいたものです。
今お出ししているリーフレットに載せてあります。

 

『三越で』

「あれっ、うそ、こんな所に出来たんだ。」
知らないうちに、子供の手を引いて、カウンター席に座っていた。

1週間後に控えた、子供の小学校受験に備えて、新しいジャケットとパンツ、
ついでに私のブラウスもと、新宿のデパートに寄った帰り、
買い忘れたパンを求めて駅に近いこのMデパートの食品売り場に足を踏み入れた。
今日もそう、何かに追われているような毎日。

なかなか子供に合うジャケットがなくて、つい時間が過ぎてしまった。
午後は塾がある。それに遅れないよう帰らなくては。しかし疲れた。

食事もできるんだ。そうだここで昼ご飯食べて行こう。
ちょっと高めの椅子に座って、子供は珍しそうにきょろきょろしている。

そう、もう10年になる、忘れもしないこの大豆をあしらったロゴマーク。
学生の頃ほんとよく食事に入った。味噌も買った。

最初は田舎の母が上京して、吉祥寺だったら、最近テレビで見たお店がある、
とか言って私を連れて行ってくれたのが始まりだった。

オリジナリティー溢れる素材重視の味噌料理が気に入って、4年間通い続けた。
サークルの<追い出し>もここでやって結構好評だった。
その店の支店がこのデパートにも出来ていた。

卒業、就職、恋愛、結婚、出産、育児、そしてお受験。
お決まりのコースを駆け足でやってきたって感じで、なんとなく息が切れてきた。
まだこれから越さなきゃならないハードルは延々と続く。

それに最近子供がご飯をあまり食べなくなったのも気がかり。
「あなたの体のためを考えて、頭がよくなるように、元気でるように、
ママがんばって作ってるのよ。ちゃんと食べてよ。」
「うん、でもあまり食べたくない。」昨日の夜も残してしまった。

  そうだ注文しなきゃ。「ロールキャベツのゴマクリームソース下さい。」
「はい、ありがとうございます。すぐご用意します。」元気な声が返ってきた。

「この、ロールキャベツね、ママが学生の頃大好きでよく食べたのよ。」
「おまちどう様、ごゆっくりどうぞ。」
そうそう、これこれ。あはっ、やっぱおいしい。懐かしい、この味。

「僕も食べる。」珍しくこの子が自分から食べるって言った。
「どう、おいしい?」
「うん、ママも好きだったんだろ。やっぱうまいよ。」
あっという間に一皿食べてしまった。「すみません。あと一人前下さい。」

一生懸命栄養のバランス、カロリー考えて、この子のためばかり考えて、
それが逆に食事を押し付けて来てしまったのかも、ふっとそんな気がした。
自分の食べたいものより、子供の好きなもの。夫の好物より、子供の栄養バランス。

この頃夫の帰りが遅く、家で食べなくなった。飲んで帰ることも多い。
それでか何となく、二人の関係もぎくしゃくし始めた。
そっかー、この子なりにプレッシャーみたいなもの感じていたんだ。

もういいや自分の好きなもの作ろう、夫の酒の肴作ってやろう。
そうだよ、これでも私の人生の一部だもの。私は私、子供は子供。

なんか、肩の荷が下りた様な、目の前が明るくなったような、そんな気がした。
「ねえねえ、塾さぼって、どっか遊びにいこうか?」
一瞬怪訝そうな目をしたが、次の瞬間輝いた。
「うん、ディズニーシー行きたい!!」

うふっ、味噌少し買って行ってロールキャベツ作ろう。
よし、夫の携帯にメール入れてやろう。
<おーい、今日はロールキャベツのみそスープだぞ、早く帰っておいで>

夏メニュー始めました(夜)

Mid Summer MENU 2011

2,500円

 

1ドリンク付き(ビール小瓶、赤or白orロゼグラスワイン、冷酒、焼酎、シードル

ウーロン茶、ジンジャーエール、から1品)

 

下から4品お選び下さい①~⑳

 

①   味噌漬け豚サラダ

②   味噌漬け牛タンサラダ

③   豚しゃぶサラダ

④   揚げ茄子と豆腐のサラダ

⑤   ロールキャベツ豆乳スープ

⑥   ロールキャベツゴマ&ワインソース

⑦   味噌汁餃子

⑧   味噌だれ焼き餃子

⑨   豆腐田楽

⑩   焼きナス田楽

⑪   味噌カツ

⑫   効き味噌

⑬   味噌漬けクリムチーズ

⑭   ゴーヤ味噌チャンプル

⑮   夏野菜のラタトィユ

⑯   モツ煮

⑰   ミニ豚丼

⑱   ピリ辛味噌リゾット

⑲   焼きナス辛子スープ

⑳   コーヒーor紅茶(チーズケーキorパウンドケーキ付)

 

+500円で1品追加できます。

 

『花屋のオープニングパーティーで』

味噌はおいしくて、簡単でヘルシー以外に
人の心を繋げると言うか、団欒を提供したり、
本音で気持ちを分かち合える空気を作るみたいな
そんなところがある様な気がします。

 

『花屋のオープニングパーティーで』

「ったく、何なのこのシレッとした冷たい空気は。」
つい一人ごちてしまった。

三十台半ばにして大一番、私としては人生を賭けて打って出た、
赤坂のフラワーショップ、のオープニングパーティーだったのだが、
今一番盛り上がらない。

 三々五々、昔の会社仲間、仕事仲間が二、三人連れでやって来てその時は、
「おめでとう、わー素敵なお店じゃない。」

「凄いオールドローズいっぱい、きれいじゃない、
私大好きこの花。がんばってね。」

 と賑やかなんだけど、いつの間にか仲間同士のひそひそ話しになってしまい、
あながち寒いのは冷房の効きすぎのせいでもない。

 ちょっと前、代理店の男がドンペリを持って現れた時は
「おおっー凄い、じゃあ乾杯!」と一時大いに盛り上がったものの、
その男の自慢気なフランス話に妙に座が白けてしまい、
より一層静かになってしまった。

 それにしても遅いなアイツ。

30分位遅れるとは言ってたものの、かれこれ一時間になる。
田舎の高校時代の同期で同じスポーツサークル。
私はマネージャーだった。

 家が同じ方向でよく一緒に帰った。
背は高くまあ格好いいし、悪くはないなと思ってはいたものの、
二人でラーメン食べる以上の仲にはならなかった。

 久々の上京で母校の大学に顔を出してから来るなんて言っていたのに、
・・・・・・・来た!

相変わらず飄々として一時間遅れに悪びれる風でもなく、
開口一番、

「なんだよ、花屋にしちゃ色気ないなぁもっと若い子いないの。」

まったく「いいの、ここは飲み屋じゃないんだから。」

 そして彼「はい、お土産」とケーキ箱を差し出した。

「なにこれ」蓋を開けてみると、懐かしい香りが広がった。

「味噌じゃない。」

 「そうなんだよ、これがうまいんだ。キュウリに付けて食ってみな。」と、
カップの蓋を開けると、
野菜スティックで味噌をすくって差し出した。

 「おいしい」

 「だろ」

 「うん、おいしい、おいしい」
少し塩辛さはあるものの、甘くてこくがあり、まろやかな口当たりで、
洋風の味に慣れた舌に妙に新鮮。

 「学生の頃よく食べに入った店で味噌もいっぱいあって、
量り売りはカップに入れて売ってくれるんだ」

 香りに誘われてか、一人二人と寄って来た。

 「何、何、それ味噌?かわいい、アイスクリームみたい。」

「うまい」「うんおいしい」

「これって麦みそ?」「なつかしい」

 「おれんちは昔から赤だしみそなんだ。」

「じゃ出身愛知?同じだ」「豆腐の田楽味噌うまいんだ」

 「いや、なんたって味噌は越後だよ、米が違う。」

 「いーーや、信州味噌が一番だよ。」

 「ねえねえ、今度家でみそ汁パーティーしない?」

 「それいいね」

 周りがなんとなくざわついてきて、あちらこちらで笑い声が大きくなった。
名刺を出し合ったり、ビールを注ぎ合ったり、
ドンペリ男までが方言丸出しで大声で喋ってる。

 部屋の温度が上がった。

 そう言えば、アイツはどこへ行っちゃったのかしら・・・・・・

いたいた、この中の一番可愛い子捕まえて、鼻の下伸ばして喋ってる。
しっかり左手に味噌カップ持って。

 そうね、今度私もその店とやらへ行ってみよう。
いい男つかまえて、うまい味噌料理作ってやろう。
こう見えても料理結構得意なんだから。

 

 

 ————-以前私がお呼ばれしたパーティーに味噌をおみやげに
           持って行ったことがあって、そういえばこんなこと
                      あったかなと書いてみました。  

 

『最高のアクセサリー』『3度目の奇跡』

過去のブログの中で比較的<拍手>の多かった文章を二つ選んでみました。

『最高のアクセサリー』

 

「はい、誕生日プレゼント。35歳かしら、もうおじさんね、」

「でもとりあえずおめでとう。」
そう言って彼女白い封筒を手渡した。 

ここは乃木坂に近いとあるクラブ。

会社の2年先輩の叔母に当たる女性がやってると言う、
まそれほど高くは無く、気軽に寄れる店。

彼女を連れて行くのは2回目。

 開けてみると下北沢の劇場のチケット2枚が入っていた。
≪東京乾電池≫の芝居の指定席券だ。

 「あっ、どうもありがとう、へええ、芝居のチケット?」

「そう、結構評判良いみたいよ。この日夜仕事入ってないって言ってたわよね。」

「そうだよ、5時半には上がるよ。」

 「良かったら私を誘って?!」

 「えっ、うん。も、もちろん誘うよ。当たり前じゃん、一緒に行こう。」

「よーかった、嬉しい!」
「違う人と行くって言われたらどーしよう、ってドキドキしてたの」

 この大嘘つき、何がドキドキだよ。
俺が絶対誘うと100%分かっててそう言うんだから、よく言うよ。
一人毒付いた。

 と、いきなり店のママが割り込んできた。

「あーーら、二人して何ごちゃごちゃしてるのかしら?」
「まあ、東京乾電池じゃない、私この劇団好きなのよ。
ねえ、誰と行くの?私と行こう!連れてって!」

 冗談じゃない、誰がこんなおばさんなんかと、

 「私ちょっと、お手洗い。」彼女が出て行ってしまった。

気を悪くしたかな、ちょっと心配。

 ママと二人きりになると、
「ばかね、行く訳ないじゃない、ちょっとからかっただけよ。」

 「でも、あの子凄く良い子よ、手放しちゃダメよ。」

「綺麗だけじゃない、センス良いし頭も良い。
なかなかあんな子いないわよ、かなり年も違うでしょ、
あの子未だ女子大生でしょ。でも二人中々良い線いってるわよ。」

 「仕事柄いろんなカップル見てるし、話したりもするけど、
あそこまで出来た子まずいないわね。
うらやましい、私が男だったら放っとかないね。」

 「いいこと、あなた位の年の人、よく女性連れてくるけど、
勿論奥さんじゃないわよ、それに関して私は良い悪いは言わない。

でもどうせ連れて歩くなら良い女選びなさい。」

 「その連れてる女性を見て、私たちその男性を見極めるから。」

 「どんな立派なスーツ着てロレックスしてても、
連れてる女、見るからにアホ、どんなにスタイル良くても中身ない女、
これだとその男会社ではどんなに偉いか知れないけど、ダメね。

もう体だけじゃんってミエミエ。その男の価値ガタンと下がるわね。」

 「逆にその人がそんなに身なりは大したことなくても、そう、あなたみたいに」

「連れてる女性がセンス良くて、頭も切れて、ユーモアの分かる
しかも気の付く子だったら、それで人一倍可愛いときたら、
その男性の評価抜群に上がるわよ。」

 「言ってみれば最高のアクセサリーよ。」

 「あなた今最高のアクセサリーしてるわ、
あの子に見合う様あんたも仕事、遊び?がんばんなさい。」

「お待たせ!あら二人で何の話ですか。乾電池二人で行かはるんですか?」

 なんでそこで関西弁になるんだよ。

「行かないよ、ママは残念ながらその日は仕事なんだって、ほんと残念。」

 「あーーら、それで仕方なく私と一緒に?嬉しゅうございますこと。」

 

誕生日プレゼントに芝居のチケットもらうことも初めてだし
《よかったら私を誘って》なんて言われたことも、

なんとも新鮮で、いわゆる胸がキュンと締め付けられて熱くなり、
そしてますます彼女に引かれて行く自分を感じていた。

 <もちろん、手放しはしない、アクセサリーなんて、そんなんじゃない。>

<それに仮にどんなダイヤモンドだって敵いはしないさ。>

 

 

 

―――――ほんと、ここまで来ると男の妄想って留まるところを知らない、
って感じかな。中年男のしがない希望?願望?欲望?つまり妄想。

駅に貼られた芝居の広告ポスター見ながら、こんなことあったらなあと、
かなり前にノートに書き込んだものを仕上げてみました。

 

———次は仕事で出張の、新幹線の発車際に思いついたのもです—-

 

『3度目の奇跡』

 そうだよな、取れるわけないよな。何せ夏休み最初の土、日だもの。
宿なんて空いてないよ、無理。

だって明日だよ、しかも観光名所、人気のホテルときたら、、、ま、ダメだろう。
でも一応電話だけしてみるか。

 「えっ空いてる!」

 ついさっきキャンセルが一件、ツインで一部屋なら取れる。
うっそー、ラッキー、

「えっ、はいお願いします。」やったね!!

 ん、でも新幹線がなあ、、、1時間前に行ってホームに並ぶのも嫌だし、、、

恐る恐る窓口で、
「すみません明日なんですけど、はい、2枚。
いえグリーンでなくても、普通で、
えっグリーンは満席、じゃ普通なら空いてるとか?」

“そんな訳ないだろ”て顔で、窓口駅員はボタンを入力して行く。

 画面が現れた。緑のランプが点いた。

「取れますね、10時12分、12号車10番のD、E」
窓口が不思議そうに言った。

「それ下さい!」

 ありゃあ、買えちゃったよ、うそみたい。どうしよう。

ええい、こうなったら男は度胸、
思い切って誘ってみよう。

 

夜の食事の後で切り出した。

 「ところで、明日なんだけど、うん急にゴメン」
「確か空いてるって言ってたよね?」

 「そう、一緒に行かない?」

「前から出張で行くって話してただろ?」

「あー、うんホテル一泊だけど、予約取れたかって?」

「うん何とか、そう最近割と有名なホテル。」

 「いいよ、無理にとは言わないよ。気が向いたら来てくれればいいし、」
「都合悪けりゃ来なくても構わないし」

「僕?僕は仕事あるから、どっちにしたって行かなきゃならないから、うん、」

 「仕事はそんなにかからないから、終わったらあちこち、一緒に行こうよ。」

「天気良さそうだし、暑いけどおもしろいと思うよ。」

 「とにかく新幹線のチケット渡しておくから、」

「うん、取れたよ奇跡的に!」

「直接この時間に列車に乗って来てよ。」

と言って隣りの指定席のチケットを手渡した。

 

 翌日、10時10分、新幹線ひかり112号、
隣りの席は未だ、、、空いたまま。

 他の席は一杯、家族連れやグループ、カップルで満席。
皆笑顔で喋ってる、楽しそう。

 そうだよな、来ないよな、来る訳ないよな、突然だったし、
しかも一泊だし。

ま、しょうがないか、一人仕事して早く帰ろ、
名物の味噌でも買ってさっさと帰って来よっと。

 10時12分定刻、列車は音も無く走り出した。

過ぎ行くホームを眺めながら、ひょっとしてホームにいたりして、
遅れて今にも駆け足で階段登って来たりして、

思わず目を凝らして見渡してみる。

 ある訳、ないない、ふーっと大きなため息をついた。

偶々奇跡的に宿と列車の予約が取れただけ。

世の中そう甘くはないさ。

三度目の奇跡なんて、、、

 

うしろで<コツコツコツッ>足音が止まった。

声がした。

 「すみません、その席空いてます?」

 振り返ると、旅行カバンを手にした彼女がニコニコして立っていた。
チケットを手に。

 「くそっ、やられた」―――でも私の顔には満面の笑み

 

———こんな彼女がいたら、ハラハラ、ドキドキだね。
たまたま遅れそうになって慌てて最寄のドアから飛び乗って
12号車まで歩いて来たのか、はたまたわざと
ハラハラドッキリさせようとそうしたのか、それは分かりません。

 

 

 

 

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明治30年創業の味噌屋が美味しい味噌とみそ料理を紹介