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みそオヤジの独り言

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花火ソンエルミエール

今年の夏はコロナの影響で全部の花火大会が中止になってしまいました。
寂しい限りです。
サラリーマンの頃ちょっと変わった花火大会に遭遇しました。
それを又載せてみます。
 
≪ソンエルミエール花火大会≫
 
―――夏休み真っ最中記録的な暑さが続きますが、
今年も全国で夏の風物詩とも言える≪花火大会≫が各地で催されました。
 
〝間断の音なき空に星花火〟
 
私の大好きだった女優『夏目雅子』の代表とも言える俳句です。
都会で見る今の花火は人が多すぎて、それに星空はほとんど見えないので
この歌の風情は感じられません。
 
小さい頃、私の町でも花火大会がありました。
海岸沿いに大して大きくもないんですが打ち上げられました。
花火を見に行ったものの、その音が怖くて
耳を手で覆いながら空を見上げていました。
 
花火が出てない時、見上げれば満天の星でした――――まさに星の花火。
怖がっていると思われたくないので、
「ほら、あれが北斗七星その先が北極星だよ」
なんて関係ないことを弟に教えていました―――遠い昔の記憶。
花火で思い出した事がもう一つありあます。
 
もう30年以上も前のこと。
まだサラリーマンで三越で働いていた時です。
当時夏には三越が主催する≪ソンエルミエール≫花火大会がありました。
南軽井沢レイクニュータウン―――三越の開発した別荘地―――
で行われる花火大会です。
 
周りを山で囲まれた高原の湖が舞台です。
そこの水上にステージが設けられ、曲が演奏され歌も。
その音楽に合わせて花火が打ち上げられます。
と同時に山の中腹から湖に向かってレーザー光線が放たれます。
―――花火の間は別荘に頼んで灯りを消してもらっていたそうです。
 
例えば<ジュディオング>が≪♪ Wind is blowing from the Agean 女は海≫
と羽の付いた衣装で歌い上げるとそれに合わせて花火、
曲のクライマックスには仕掛け花火やレーザー光線がここぞとばかりに放たれ
 
それは、花火に関しては長良川なんかで結構大きなのを見ていて
「へっ、所詮子どもだましみたいな山奥のちぃっちゃな花火なんて」と馬鹿にしていたら、
 
なんとその眩さ、スペクタクル、優雅さに圧倒。
まさに鳥肌ものです。
ただ何千何万のそして大きな花火に圧倒されるんじゃなくて、
軽井沢の自然の中、その地の利を生かした、
音と光の織り成す一大ショー、ページェント――そうまさにエンターテイメント、
オーバーですが芸術です。
曲に合わせて仕掛け花火が湖を走ったり、打ち上げ花火がまとめて上がったり。
レーザー光線が思いっきりのアクセントになってまるで夢の世界です。
 
30年たってもあんな花火一度もありません。
今も全国で打ち上げ花火の数と大きさそして新しい技術で競い合っていますが、
このような自然を生かした演出の花火大会はお目にかかったことはありません。
 
それを30年も前にプロデュースした三越―――岡田社長には頭が下がります。
そして帰り道、
車で国道まで出る道には
10m間隔で三越社員が並んでペンライトを振ってお見送り。
至れり尽くせりの花火大会です。
 
そうあの頃の三越のパワーは何処に行ってしまったのでしょう。
 
―――今度かつて全盛期の三越の裏話を書いてみます。
 

2020-08-07 09:36:48

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雉撃ち

『雉撃ち』
(草むらでしゃがんで用を足す格好が似ているので付けられた山言葉)
 
うん、さっき夕食に食べた赤出し味噌汁、インスタントにしてはうまかったな。
「ちょっと食後にキジでも撃ってくるよ。」連れの男にそう言うと、
テントサイトから縦走路に入ると直ぐ道をそれ、左の藪の中へ入って行った。
膝位の笹の中を適当な場所を探しながら、
そう言えば今日の昼、縦走路脇の小さな無人の山小屋に寄った時、
登山者ノートが置いてあって、昨日の日付けで
<今日縦走路でオヤジを見かけた、気をつけた方がいい。>
と書いてあったのを思い出した。オヤジとは熊のことである。
 
10月に入っての連休、友達と二人、南アルプスの
甲斐駒、仙丈ケ岳の縦走の山登りに来ていた。
紅葉は盛りを過ぎてその葉を落とし3000メーター級のアルプスは
冬の準備にかかっていた。
熊も冬篭りの準備で人道にも餌を探しに現れたらしい。
 
やだね、こんな所で熊ちゃんとバッタリなんて、ビックリなんてもんじゃないよ、
ドッキリ、ギックリだよ。イヤイヤ早く済ませて帰ろ。
わざと陽気なフリをして登山靴の先で適当な穴を掘るとズボンのチャックを下ろした。
 
急いで用を済ませて、ズボンを上げようとしたその時、
10メートル位か後ろで、ガサガサっと藪の中を歩く物音。
ドッキ!さては昨日の熊、現れたか。
恐怖てのあこんなものか、全身の毛が逆立つとはこういうことか、
眞に頭のてっぺんからつま先まで、
体中の毛という毛が全てビンビンに立った感じ。
ズボン上げる間もなく振り向いた。
 
ガサガサガサ、身の丈2メートルはあろうか、
カッと真っ赤な大口を開けた月の輪熊が
両手をあげ直ぐ後ろに仁王立ちでこちらに向かって来るではないか。
 
と思いきや、人だ。
頭からウインドヤッケをすっぽり被りゴーグルをして手にはミトン、
リュックのサイドにはピッケルが差してある。
あんぐり口を開けたまま、「あっ、どうも。」慌ててズボンを引き上げた。
相手はこちらを見るふうでもなく、知らん顔で
バサバサ藪の中を尾根沿いに下の方へ降りて行った。
 
なんだ人だよ、人間だよ、びっくりさせやがって。
心臓が口から飛び出しちゃうかと思ったよ。
しかしなんだよあいつ、人が挨拶してるのに知らん顔で、失敬な。
でもなにか、歩いてていきなし人が糞してるの見ちゃったら、俺でも知らん顔するか、
それもそうだな、ま、熊でなくて良かったよ。でも足はまだ震えていた。
現物と紙を丹念に靴のかかとで埋めてしまうと、もと来た道を下りた。
 
相棒はもう寝る準備をしていた。すぐに聞いてみた。
「さっき登山者が一人下りて来ただろう?
やたら厳重な格好した奴。」
相手は怪訝そうな顔で、「誰も来ないよ、ずーっとテントの外で
エアマットの空気漏れを調べていたけど、
誰か通れば必ず分かるはず、誰も通ってないよ。」
おっかしいな、あのまま真っ直ぐ下へ来れば必ず我々のテントの横を通る筈なのに、
横へ反れたかな。相棒が聞いた、「どんな格好してた?何が厳重だよ」
 
「ほら、ゴーグルしてて目出帽の上にウインドヤッケかぶって、まさに冬山よ。」
冬山って言ったとたん、〝はっ〟と、
ひょっとしてもしかして以前新聞で読んだことのある、
冬山の遭難者、の霊?お化け?
ウソっうっひょっ、
背中にぞーっと冷たいものが、だめだ、又足が震えてきた。
「おい、早く寝よ、しっかりテント閉めて!」
 
 
―――ほんと、山は人がいるから怖いのかいないから怖いのかよく分かりません。
 
こんなことも
在学中夏の終わり頃、テント背負って一人東北を旅したことがありました。
岩手山に登ってみようと麓の雫石と言う所
――当時ちょっと前飛行機事故があった場所で
人も何人か亡くなったと記憶してるんですが、
―――にやって来ました。
国民休暇村にバンガロー場があると言うのでそこにテント張って泊ることに、
普段ならグループ連れ、家族連れで賑わっていたんでしょうが、
シーズンオフとあってか誰一人いません。
何十のバンガローがありますが私以外人っ子ひとりいません!
ゴーっという森のさんざめき水場のピチャピチャ他は何の音もありません。
晩ご飯簡単に済ませ早々と寝ることに、
どうもいつもみたいには寝付かれなくて、
なんかいるのかなあ、テントから首を出して眺めていた時
――と突然2,30メートル向こうの黒々したバンガローのドアが
音もなくふわーっと開いた次の瞬間
白い影がスー―っと動いて
うそっ、だ誰っ、こっこっち来ないで!
――と、ふっと消えました、ーーーむろん誰もいやしないーー、
いやあー怖いの何の、頭から寝袋被って寝ました。
まー目の錯覚でしょうが、否確かに見たと、、、―――よくある話。
 
――――今はとてもそんな一人で山ん中テントで寝るなんて無理無理!
 
―――そんなことがあっても大学4年の終わり私の卒業旅行は
やはりテント寝袋担いでの南九州一人旅でした。
機会がありましたらその話も披露したいと思います。――昔の話はもういいか?!
 

2020-08-03 09:15:06

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エピソードー2(生本番)

エピソードー2《ゴマクリームソース》
 
「土平さん、どーして、そこでお砂糖入れるの?」
「・・・・・・・・・」
<うっそーっそんな質問するなんてカメリハでは一言もなかったぞーー>
 
何年か前、たしかTBSのスタジオで昼の生番組放送中、
当店人気の『ゴマクリームソース』を実演で作っている時
MCのうつみ宮土理さんがいきなり聞いて来ました。
 
<どーして、って言われたって、おいしいから、に決まってんじゃねーか>
―――そんなこと言えないし、
 
「もちろん、甘い西京味噌入れてもいいんですが、やや味がボケます」
「ここはやっぱ砂糖の方が味がはっきりしておいしいです!」
 
<―――よく言ったよ、生本番でいきなり訳分からんこと聞かれて、
すぐにスラスラ出てくるなんて、大したものじゃない>思わず自画自賛。
 
なんだかんだで『ゴマクリームソース』が出来ました。
 
うつみさん試食して、
「ほんとやっぱりおいしい、味が決まってるわーぁ!」
さすがプロ、ナイスフォロー。
 
 
 
しかし生番組は疲れる。
 
この放送中にはまだ冷や汗ものがありまして、、、、、
 
て言うのはまず番組のセットの袖でスタンバってたのですが
何時出たらいいのか分からない!
するとレギュラーだったヨネスケ師匠が「早く出てこないと終わっちゃうよ」
と袖引っ張って出してくれました。ヤレヤレ
そしていよいよゴマクリームソースを作る時が来ました。
先ずゴマを炒ります。
リハーサルでは厚さが5mmもある鍋も温まっていたのでゴマを入れてコンロに
架けると直ぐにパチパチってゴマがはじけて炒れたのですが
本番中コンロ消してあったので鍋がすっかり冷えていました。
5mmもあるので火を入れてもそう直ぐには熱くなりません!
いくら鍋振ってもウンともスンともいいません、やっぱ堪りかねたヨネスケさんが
「土平さん、早くしないと番組終わっちゃうよ!」
――「ハイ、急ぎましょう、とこれが炒りあがったゴマです、」用意してあった
炒り上がりのゴマを出して
「指で潰してみるとこんな色になるまで炒って下さい」
――口では段取り通りみたいに言っていますが、もう心臓ドキドキッ!!
「これを当たりバチで細かくなるまで擦って下さい」ーーー擦り上がったゴマを取り出して
「さあこれに味噌とお砂糖、」って言った瞬間
冒頭のMCのどうしてお砂糖入れるの?発言
間髪を入れず甘い西京みそだと、と言えたのもうん上出来上出来!
 
―――最近ではテレビ東京の生番組でゲストの太川陽介さんにいきなり
「土平さん、家のかみさん自分で手造り味噌作ってんだけどこの頃
汁が上がって来ちゃったって言うんだけど大丈夫なの?」
そうなんですよ、カメリハには未だ来てなくてディレクターが代わりにやってたんですよ、
もちろんそんな質問しないし、
―――だいじょうぶ大丈夫また直ぐ下がって行くから問題ありません!
そうなんです、私も手造りみそ作ったことあります、仕込んで暫くすると
茶色の液が上がってきます、放っておけば引いていきます。
経験済み!
―――知らなかったら、どうしましょ!?
と考えると冷や汗!
なんとか生本番事もなく通り抜けてきましたけど、後で考えると
「ったくもう!」ですね。
 
 
 

2020-07-29 21:36:33

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ポトフ

先日10月6日(水)午後5時からのテレビ朝日『スーパーJチャンネル』の番組
吉祥寺のグルメスポットを紹介するコーナーのなかで当『ソイビーンファーム』が
放送されました。
レポーターはフランス人男性のアランとイラン人女性のサヘルの二人です(敬称略)。
放送時間は2分位ですか、他の店に比べれば比較的長かった方ですが、
実はサヘルのレポートした『牛肉と大根のポトフ』がすっかり抜けていました。
せっかくサヘルがとてもタイムリーなコメントを言っていたのに全部カットで
残念です。
 
それは、こんな感じです。
当店の人気メニューのひとつに『ことこと煮込んだ牛肉と大根のポトフ』があります。
牛肉を一口大に切って、ニンニクとバターで炒めてから赤ワインと一緒に煮ます、
あくを取ったら玄米味噌を加えてさらに4時間煮込み柔らかくなったら大根、玉ねぎ、人参を加えてさらに3時間、大根が透明になりスープにうまみと甘さがでるまで煮込みます。
それにジャガイモ、しめじ、ブロッコリを加え、味噌味を整えて出す訳です。
 
「これってどんな料理ですか?」サヘルの質問に答えて、
 
「味噌ベースではあるんですが、あえて味噌はあまり主張しないで、
中に入っている具材の持ち味を生かしてやる。」
「牛肉の柔らかさ旨み、大根、玉ねぎの甘さ、他人参じゃがいもシメジの味、食感を
引き出してやる。味噌の味にワインの風味、肉のうまみに大根の甘さが加わったスープ、
そしてそれら全てをうまく調和させてひとつの料理として素材のハーモニーを楽しんで頂く。」
 
「ん、これが味噌か!って思わず顔が吸い込まれそうになる。」
「これが当店の目指すところのポトフなんですよ。」
と言ったら
 
サヘルが間髪を入れず
「それってまるで日本人そのものじゃないですか。」
って返すもんだから、思わず「うまいっ」って拍手してしまいました。
 
ちょうど中国と尖閣諸島問題でガタガタしていた時だけに
このレポーターただものじゃない!
 
これが放送されれば面白いのに―――――― 、残念でした。
 
もちろん、ロールキャベツのゴマ&ワインソースだけで時間いっぱい。
とても『ポトフ』まで入れる時間がなかっただけのことでしょうが、
気合を入れてしゃべっただけにがっかりです。
 
――――この後管さんが総理大臣になられたのかな、この時の冬のセールの挨拶文が好評頂きました。
 
 
―――これが平成22年の話です。ここにその冬セールの挨拶文を載せておきます。
この時3名のお客様からこの挨拶文が欲しいと言われました。これ以来セールの挨拶文を書くのに2週間以上かかる様になりました。
 今日のニュースによりますと又日本も中国とトランプ大統領の5G(ハーウェイ?)争いに巻き込まれそうで困ったもんです。
 

2020-07-21 08:33:39

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平成22年冬セール挨拶

暑くて暑くてどうしようもない日々が続いたと思ったら、いきなり木枯らし1号。
あっと言う間に冬です。
皆様お元気ですか、いつも何時もソイビーンファームご利用戴き誠にありがとうございます。
 
地元出身の菅さん総理大臣になっても、中国やらロシアやらにやたら揺さぶられ放しでもう大変、がんばって欲しいものです。
 
前にブログでも書きましたが、日本と言う国はまさに味噌です。
長い伝統と歴史、独自の文化を持ちながら、
味噌汁の様に、その味と香りを充分出して、自分をしっかり主張する一品があると思えば、
当店の料理のポトフの様に、牛肉、大根、玉ねぎ、人参、じゃがいも、キノコ等など夫々の具の持ち味を活かし、自分はあまり主張しないで他の材料の美味しさを際立たせてやる。料理全体のバランスを整え調和を持たせる。
しかし味を調えるだけじゃない、味噌と言うこの上なく栄養価の高い健康に良い性格(高度な技術と繊細な心)を活かし料理をグレードアップしこの上ない美味しいそして優しい一品(平和な世界)に仕上げてくれる、
まさしく日本その物じゃないですか。
やたら大きいだけが取り柄のお隣さん達みたいに、俺が俺が、と言う時代は終わってんだよって、言っておやんなさい、菅さん。
 
なんて今回はオーバーな書き出しになってしまいましたが、
要は24th ANNIVERSARYのお知らせです。
 主張する料理も協調する料理も自由自在な30種類の味噌から、お好きな味噌を
お選び下さい。どれもこれもお買い得です。
お歳暮も各種用意しました。
皆様のご利用お待ちしています。
 
余談ですが今月始め、吉祥寺パルコ開店30周年記念キャンペーンで
ソイビーンファームの味噌が300個プレゼントされました。おかげさまで大好評でした。
 
平成22年11月
 
お客様各位                    
                                   吉祥寺SOYBEAN FARM
 

2020-07-21 08:32:07

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鼻毛の抜き方

『鼻毛の抜き方』
 
台風で大した仕事がなく本棚の整理をしていて見つけました。
 
『1973年における東京のヤング1973人の発言』
この年デパートの東京大丸が主催、平凡出版(現在のマガジンハウス)毎日新聞、
そして電通が協賛して行われたオピニオン募集です。
 
毎日新聞一面にデカデカと広告が出されて、入賞者10名パリ10日間の旅ご招待。
つまり何項目かのテーマの中の一つを選んでそれに対する意見発言を
葉書一枚に、文章でもイラストでも書いて出せば、
パリに行けると。
 
そのテーマとは、

  • 日本列島を考える
  • 生きる価値
  • セックス
  • 映画、テレビ、音楽
  • 情緒の発見
  • ファッション
  • 遊び
  • 私にとっての東京
  • ノンセクション
でした。
その頃はまだ、<地球を考える>は無かったみたいです。
当然私は、農学部出身ですから、①これからの日本の農業について書きました。
ちゃんと下書きまでして、
でももう一枚⑩当時何となく浮かんだ事を思いつくまま書いてみました。
葉書に一杯になり書き切れないので矢印で引っ張り横にして、
まあぐちゃぐちゃな感じで、
でもまいいかと二枚ポストに出しました。
 
そんなことはすっかり忘れて仕事で甲府に行っていた時、
宿に突然、かみさんから電話(その年に結婚していました)。
「あたった、当たった。新聞に出てる、パリよパリ」
「何が?」
「ほらいつか書いて出したでしょ、懸賞論文、鼻毛、鼻毛」
「あーーーあの毎日新聞の、そりゃ当たったじゃなく入選だろ!」
 
てな訳でいい加減?な気持ちで書いた方が入選してしまいました。
 
後日その1973人分の作品が載った本が平凡出版から出されて
うちにも一冊本棚に置きっ放しになっていたのです。
なんと36年前の若者の意見です。
 
そのパリ行き入選者10人の作品のトップに私の文章が掲載されています。
それをここに移してみます。
 
 
『鼻毛の抜き方』土平哲生
 
 たとえば、国立の病院へ歯の治療に行った時とか、なかなかやって来ないバスを
待っている時とか、ふとその時間をもて遊んでいる時、なんとなく鼻がムズムズする
ことがあるでしょう。
 
 この頃は排気ガスやらスモッグやらで、空気が汚れているせいでしょう、
鼻毛がやたらのびるのです。
 
外からフッとつまんでみても5,6本長いのがつかめるんですよ。
そこで、そのなかで太そうなのを一本、爪でつかんで、息を殺してムッと、
力いっぱいひっぱるのです。
 
うまくいけば、長くて太くておまけに根まで黒いのが抜けてきます。
そんなときは自分でも痛いのも気にならずそれに見とれるくらいです。
すぐ捨てるのは惜しくて、てのひらにくっつけてみたり、爪先でくるくる回して
みたり、それは楽しいものです。
 
 しかし、途中で切れたり、抜けそこなったりしたら、痛いものです。
思わず涙がでます。
それを防ぐためには、しっかりと毛がつまめるよう、
爪先の断面を平らにしておくことです。
もうひとつ注意することは、鼻の奥の方の古そうなのを抜くことです。
まちがっても、つかみやすいからといって、入口のところの、あまり太くない
若いやつを抜かないことです。
これは、抜けても抜けなくても痛いことこのうえありません。
 
はたから見れば、汚らしいというか、いやらしいというか、
あまりいい図ではないことは確かです。
 
しかし歯を抜かれるのを待っていたり、バスを待っているとき、なんとなく
鼻がムズムズするのはなぜでしょう。
(東京都大田区北馬込1-2-2-202 25才会社員)
 
 
 
なんともまあ他愛もない文章でしょう。
これで7000通以上の中から選ばれたなんて、
おそらく⑩ノンセクションにはろくな物が無かったに違いありません。
 
でも選考委員には、石川弘義氏、永六輔さん、落合恵子さん、今野雄二氏
小林康彦さん、サトウサンペイさん等、当時錚錚たるメンバーです。
 
パリ10日間の旅にはちょうど男5名女5名が選ばれました。
25歳の私が一番の年長です。
翌年1974年5月に連れて行ってもらいました。
もちろん私にとって最初の海外旅行です。
いずれ機会がありましたら、当時と今の海外旅行について比べてみても
いいかと思います。(なんと羽田発です)
 
余談ですが、その10名の中の一人に
現在大活躍中の作家、林真理子さんがいらっしゃいました(当時大学生)。
 
 
――――とまあこれが文章を書くきっかけになった最初だったかも知れません。
 
 

2020-07-20 09:25:43

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携帯のない時の口説き方

『携帯電話のない時のデートの約束』
 
今は誰しも携帯電話(もうスマホかな)持っていて、
簡単に何処でも誰とでもそしていつでも連絡取り合うことが出来、
全くもって便利になったものです。
 
でも今から37年くらい前、そんな便利な物はありません。
全てが仕事場、自宅そして公衆電話と言う固定された電話機からしか
連絡は取れませんでした。
でも当時はそれが当たり前で何の不自由さも感じませんでした。例えばこんなことも。
 
 「ようごくろうさん、仕事がんばってるみたいだな、味噌の売り上げも伸びてるし、
たまには一緒に昼飯でも食うか?」
デパートで使っているアルバイト学生に声掛けた。
 
「やったあ、ありがとうございます。それから、売り場は違うんですけど、
知ってる子いるんで連れてっていいですか?」
「いいよ。じゃあこの前行ったことある中華料理屋に先行ってるから、後で来いよ。」
 
 バイトが連れてきた子はなかなかかわいい子、
デパートで働くだけあって受け答えもしっかりしていて、愛想もいい。頭も良さそう。
「かわいい子じゃないか、彼女?」
「いえ、違います。同じ大学なだけです。彼女洋菓子売り場にいるんです。
一度おみやげにでもチョコかクッキー買ってやってください。」
 
 それぞれランチ定食を頼んで、他愛も無い事喋りながら一時間が過ぎ、
バイトがトイレに行っている時、誘ってみた。
 
「今日仕事は何時に終わるの?もし暇なら晩御飯でも食べようか?」
「えっ語馳走してくれるんですか、嬉しい!はい大丈夫です。早番ですから5時です。」
意外とすんなりOK
「じゃあ後で売り場に電話入れるよ。」
「お願いします。」
 
今ならアドレス聞いて、「じゃあとで携帯にメール入れておくから。」もしくはライン、で終了。
でも当時そうは行かない。
公衆電話へ行ってまず、お目当てのレストランに電話。
今晩の予約が取れるかを確認する。首尾よく取れました。
 
今度は彼女の働くデパートの代表番号に電話、
「地下食品の洋菓子売り場お願いします」
交換女性が言う、《お電話お回しします、そのままお待ち下さい。》
 
そして《お電話ありがとうございます、地下食品洋菓子売り場担当小山と申します》
「恐れ入ります、バイトの中田さんお願いします。」
《少々お待ち下さい。》
 
デパート食品売り場女子社員小山さん受話器を右手の平で押さえると、
《中田さん、電話》
“私用電話はダメって言ってあるでしょ、”
言いたげに、にらめつける様に、受話器を渡す。
 
《はい、お電話代わりました、中田です。》
「あー、もしもし先ほどの味噌屋です。」
《はい、どうも先ほどは、ありがとうございました。》
「予約取れました。時間7時で大丈夫ですか?」
《はい大丈夫ですが場所は?》
「7時に地下鉄広尾駅でどうですか?
出口が2箇所ありますから六本木に近い方の出口
改札出た辺りで待ってます。分かりますか?」
 
“ひょっとしてデートの打ち合わせ?
ったくしようがないわね、これだから若い子はイヤよ、〟
〝仕事用の電話でいちゃいちゃ。ちょっと可愛いとこれだよ、〟
〝注文の電話が入ったらどうすんの、仕事にならないじゃないの、早く切りなよ”
 
年配女子社員の小山さん、ちょっとばかりおかんむり。それを察してか、バイトの中田さん、
《はい、分かります、》ちょっと合間を置いて
《じゃあ、その見積の件につきましては当社係長が戻りましたら、
その旨伝えておきます、ありがとうございました。失礼します。》
 
なんて言うもんだから、への字になっていた小山さんの顔、
なんだ仕事の話か、じゃあしょうがないか、なんて元の笑顔に戻るという訳。
 
公衆電話の受話器を戻しながら、この子やっぱなかなか頭いいんじゃない、
そう思いながら今日のデートがより楽しみになったりして。
 
電話の使い方、応対の仕方、周りへの気配り、今の携帯ではとてもできない、
考えられないちょっと奥深いものがあったりして、
それはそれなりに面白い所がありました。
 
―――携帯が当たり前の今こんな内容想像もつかないでしょう!
サラリーマン時代にニヤニヤしながら書いた文章でした。
 
 

2020-07-14 08:27:46

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最高のアクセサリー

『最高のアクセサリー』
 
「はい、誕生日プレゼント。35歳かしら、もうおじさんね、」
「でもとりあえずおめでとう。」
そう言って彼女白い封筒を手渡した。
 
ここは乃木坂に近いとあるクラブ。
会社の2年先輩の叔母に当たる女性がやってると言う、
まそれほど高くは無く、気軽に寄れる店。
彼女を連れて行くのは2回目。
 
開けてみると下北沢の劇場のチケット2枚が入っていた。
≪東京乾電池≫の芝居の指定席券だ。
 
「あっ、どうもありがとう、へええ、芝居のチケット?」
「そう、結構評判良いみたいよ。この日夜仕事入ってないって言ってたわよね。」
「そうだよ、5時半には上がるよ。」
 
「んんーーんそれでね、良かったら私を誘って?!」
 
「えっ、うん。も、もちろん誘うよ。当たり前じゃん、一緒に行こう。」
 
「よーかった、嬉しい!」
「違う人と行くって言われたらどーしよう、ってドキドキしてたの」
 
この大嘘つき、何がドキドキだよ。
俺が絶対誘うと100%分かっててそう言うんだから、よく言うよ。
一人毒付いた。
 
と、いきなり店のママが割り込んできた。
「あーーら、二人して何ごちゃごちゃ話してるのかしら?」
「まあ、東京乾電池じゃない、私この劇団好きなのよ。
ねえ、誰と行くの?私と行こう!連れてって!」
 
いやっ、それはないっすよ。その選択肢はありえない!
 
「私ちょっと、お手洗い。」彼女が出て行ってしまった。
気を悪くしたかな、ちょっと心配。
 
ママと二人きりになると、
「ばかね、行く訳ないじゃない、ちょっとからかっただけよ。」
 
「でも、あの子凄く良い子よ、手放しちゃダメよ。」
「綺麗だけじゃない、センス良いし頭も良い。
なかなかあんな子いないわよ、かなり年も違うでしょ、
あの子未だ女子大生でしょ。でも二人中々良い線いってるわよ。」
 
「仕事柄いろんなカップル見てるし、話したりもするけど、
あそこまで出来た子まずいないわね。
うらやましい、私が男だったら放っとかないね。」
 
「いいこと、あなた位の年の人、よく女性連れてくるけど、
勿論奥さんじゃないわよ、それに関して私は良い悪いは言わない。
でもどうせ連れて歩くなら良い女選びなさい。」
 
「その連れてる女性を見て、私たちその男性を見極めるから。」
 
「どんな立派なスーツ着てロレックスしてても、
連れてる女性、見るからにアホ、スタイル良くてもイマイチ中身ない女、
これだとその男会社ではどんなに偉いか知れないけど、ダメね。
もう体だけじゃんってミエミエ。その男の価値ガタンと下がるわね。」
 
「逆にその人がそんなに身なりは大したことなくても、そう、あなたみたいに」
「連れてる女性がセンス良くて、頭も切れて、ユーモアの分かる
しかも気の付く子だったら、それで人一倍可愛いときたら、
その男性の評価抜群に上がるわよ。」
 
「言ってみれば最高のアクセサリーよ。」
 
「あなた今最高のアクセサリーしてるわ、
あの子に見合う様あんたも仕事、遊び?がんばんなさい!」
 
「お待たせ!あら二人で何の話ですか。乾電池二人で行かはるんですか?」
 
なんでそこで関西弁になるんだよ。
「行かないよ、ママは残念ながらその日は仕事なんだって、ほんと残念。」
 
「あーーら、それで仕方なく私と一緒に?嬉しゅうございますこと。」
 
誕生日プレゼントに芝居のチケットもらうことも初めてだし
《よかったら私を誘って》なんて言われたことも、
なんとも新鮮で、いわゆる胸がキュンと締め付けられて熱くなり、
そしてますます彼女に引かれて行く自分を感じていた。
 
<もちろん、手放しはしない、アクセサリーなんて、そんなんじゃない。
それに仮にどんなダイヤモンドだって敵いはしないさ。>
 
 
 
―――――ほんと、ここまで来ると男の妄想って留まるところを知らない、
って感じかな。中年男のしがない希望?願望?欲望?つまり妄想。
駅に貼られた芝居の広告ポスター見ながら、こんなことあったらなあと、
かなり前にノートに書き込んだものを仕上げてみました。
 

2020-07-14 08:27:07

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3つ目の奇跡

ほんと今年の夏は暑いです。
猛暑日記録をドンドン塗り替え、日本列島が焼けたフライパンの上みたいでした。
でももう直ぐ秋!
30年以上も前になりますが、その年の夏になりかけの頃
地方に出張に行った時のこと(まだサラリーマン時代)、
発車前の新幹線に座って一人ボーっと窓からプラットホームを眺めていたら
慌てて階段を走って来る人なんかもいて、フーンこんなことあるかなぁ
なんてニヤニヤ妄想にふけっていたことを思い出しました。
記憶を辿りながら書いてみました。
 
 
『3度目の奇跡』
 
そうだよな、取れるわけないよな。何せ夏休み最初の土、日だもの。
宿なんて空いてないよ、無理。
だって明日だよ、しかも観光名所、人気のホテルときたら、、、ま、
でも一応電話だけしてみるか。
 
「えっ空いてる!」
 
ついさっきキャンセルが一件、ツインで一部屋なら取れる。
うっそー、ラッキー、
「えっ、はいお願いします。」やったね!!
 
ん、でも新幹線がなあ、、、1時間前に行ってホームに並ぶのも嫌だし、、、
恐る恐る窓口で、
「すみません明日なんですけど、はい、2枚。
いえグリーンでなくても、普通で、
えっグリーンは満席、じゃ普通なら空いてるとか?」
“そんな訳ないだろ”て顔で、窓口駅員はボタンを入力して行く。
 
画面が現れた。緑のランプが点いた。
「取れますね、10時12分、12号車10番のD、E」
窓口が不思議そうに言った。
「それ下さい!」
 
ありゃあ、買えちゃったよ、うそみたい。どうしよう。
ええい、こうなったら男は度胸、
思い切って誘ってみよう。
 
夜の食事の後で切り出した。
 
「ところで、明日なんだけど、うん急にゴメン」
「確か空いてるって言ってたよね?」
 
「そう、一緒に行かない?」
「前から出張で行くって話してただろ?」
「あー、うんホテル一泊だけど、予約取れたかって?」
「うん何とか、そう最近割と有名なホテル。」
 
「いいよ、無理にとは言わないよ。
気が向いたら来てくれればいいし、」
「都合悪けりゃ来なくても構わないし」
「僕?僕は仕事あるから、
どっちにしたって行かなきゃならないから、うん、」
 
「仕事はそんなにかからないから、
終わったらあちこち、一緒に行こうよ。」
「天気良さそうだし、暑いけどおもしろいと思うよ。」
 
「とにかく新幹線のチケット渡しておくから、」
「うん、取れたよ奇跡的に!」
「直接この時間に列車に乗って来てよ。」
と言って隣りの指定席のチケットを手渡した。
 
 
翌日、10時10分、新幹線ひかり112号、
隣りの席は未だ、、、空いたまま。
 
他の席は一杯、家族連れやグループ、カップルで満席。
皆笑顔で喋ってる、楽しそう。
 
そうだよな、来ないよな、来る訳ないよな、突然だったし、
しかも一泊だし。
ま、しょうがないか、一人仕事して早く帰ろ、
名物の味噌でも買ってさっさと帰って来よっと。
 
10時12分定刻、列車は音も無く走り出した。
過ぎ行くホームを眺めながら、
ひょっとしてホームにいたりして、
遅れて今にも駆け足で階段登って来たりして、
思わず目を凝らして見渡してみる。
 
ある訳、ないない、ふーっと大きなため息をついた。
偶々奇跡的に宿と列車の予約が取れただけ。
世の中そう甘くはないさ。
あるわけナイナイ!
三度目の奇跡なんて、、、
 
うしろで<コツコツコツッ>足音が止まった。
声がした。
 
「すみません、その席空いてます?」
 
振り返ると、旅行カバンを手にした彼女がニコニコして立っていた。
チケットを手に。
 
「くそっ、やられた」―――でも私の顔には満面の笑み
 
 
――実際遅れそうになって慌てて走って飛び乗り
指定の車両まで歩いてきたのか。
実は前から乗っていたのに彼を焦らせてみたかったのか、
そうだとしたらなかなかの女性だし、
やるもんだねーって言ってやりたい。
 
――――とまあこの二つはサラリーマン時代に書いた妄想二話、押し入れの隅にあったのを
引っ張り出して載せてみました。
 

2020-07-14 08:26:27

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銀座の街角で

久々の銀座、2月半ばが過ぎたというのにどうして寒い。
待ち合わせの時間には未だ早い、
少しブラついてみるか。
 
勤め帰りの女の子達がそろそろ街に出てきている。
皆生き生きして輝いている、肌きれい。
流行のロングブーツにダウン、足長い。
スタイルはいいしファッション垢抜けている。
さすが銀座、
 
私でも25年前はいわゆるボディコン、ミニスカートでブイブイ(もう死語かな)
言わせていたこともあった。
花の女子大4年生、言い寄る男どもを手玉にとって、外車でなけりゃ車じゃない
なんてマジで思っていたこともあった。
 
そうそう一時所帯持ちのエリート商社マンと付き合ったこともあった。
銀座のレストランで食事中、奥さんが乱入、二人して大喧嘩。
私はそのまま食事だけ済ませてバイバイ、後は知らない。
 
優しい男は金が無く、金がある男はわがままで自分勝手だった。
でも私の言う事を聞かない男は誰もいなかった。
並み居る男どもに負けず私も我が儘で気まぐれだった。
 
最後に私を口説き落とし、結婚したのは東京近郊の土地持ちの一人息子だった。
向こう気が強く野心家、こうと決めたらどんどん突き進んで行くバイタリティーと
時折見せる優しさが決め手だった。
 
結婚と同時に会社勤めを辞め、娘二人をもうけた。
夫は急成長するPCソフト会社を立ち上げ、成功。
5年後には関連会社をもう一社、これも順調。
 
実家の義父が何が何でも私立に行かせよと言い出し、幼稚園から塾に通わせ
何とか二人とも女子校に入れた。
下の娘が小学校上級生になる頃には家の仕事も楽になり、
ヨガ、テニス、スタジオエクササイズ、ピラティスを始めた。
 
夫は仕事がうまく行くようになると、女に手を出した。
飲み会で遅くなると言った時は必ず朝帰り、訳の分からない出張で家を空ける。
でも昔の同僚から全て筒抜け。
 
夫の実家の法事の手伝いや何やらで義母からは、仕事ができない、要領が悪い
など散々言われながらも耐えてきた。
たまに義母が家に来るときは念入りに掃除したつもりでも、
「チョット〇〇さん、ここ拭いてあるの汚いわね。」
ったくイヤになるわね、――だったら来なきゃいいのに、、、、、
 
夫は女遊びにうつつをぬかす分、家には金を入れてくれた。
さすがに後ろめたかったのだろう。
その金で着物も買った。
着付け教室にも通った。
少し節約すれば結構な帯も買えた。ザマーミロ。
 
何だろうもし子どもが二人とも男だったら、テニスコーチから誘われた時
浮気していたかもしれない。
娘の手前(ばれる訳はないけど)後ろめたさは隠せない。
 
でも今となってはどーーーうでもいい事。
今更イケメンコーチとどうのこうの考えるだけでも面倒くさい。
それほど体の線は変わっていないし、おしゃれ度だって若い子に負けてはいない。
 
自由な時間もあるし、何なら友達と温泉旅行と偽って
彼と一泊旅行も出来ないことはない。
でもうざい、面倒、第一ときめかない、なんかどうでもいい。
どうしてこんなになっちゃったんだろう。
 
ため息が出た。
どうしてあの娘達あんなにはつらつとしていられるの。
どうしたらあんなに輝けるの。
またため息。
ん、、、、気が付くと、さっきからこちらをちらちら見ている人がいる。
あーーれーっかすかに見たことある、誰だっけ。
いやだ、近づいて来る。
「こんにちは、お久しぶり、覚えてますか?」
 
そうだ!
「やだ、〇〇さん」
「ピーンポーン、やっぱりせーこちゃん。何年ぶり」
 
まだ私が学生の頃あるデパートのみそ売り場でバイトをしていてその時の
会社の上司だった〇〇さん。
未だ時間があったので誘われるまま近くの喫茶店に入った。
「何してるの?」
「結婚は?子供は?」
身の上話が一段落すると、
 
「昔、君がデパートで働いている時、朝の仕事が片付くと、こうして
誘ってよく二階のカフェでお茶したよな。」
「ただ、地下に戻ってくる時、周りの売り場の男連中の顔といったらなかったね。」
「何が?」
「何せ君はあのデパートの食品売り場の中では一番の美人だったから、」
「僕が君と二人でお茶して帰ってくると、すげぇ顔して睨むんだよ」
「<このおやじ(――当時はまだそんなにオヤジでもなかったけど)上司の
立場を利用して二人でお茶なんかしやがって、、、俺達だって誘いたいのに>
なんて視線を痛いくらい感じたよ。」
「それくらい君が美人だったってことだよ。」
 
「でもそれはもう25年も前の話でしょ、もう今ではヨレヨレのおばさんよ。」
「そうだね、肌つやは落ちているし、くすみも、しわも増えたかな。」
 
「そんなあからさまに言わないでよ、ほんと口の悪さは変わっていないわね、
どうせ私はおばさんよ。」
 
「そうそう開き直りも大事さ、もうあれから25年だろ、
あん時みたいに肌ツヤツヤだったらお化けだよ。」
「でもいくらか容姿は落ちても、どうしてそれ以上に魅力あるよ。」
「さっき最初目に留まったのは、昔見たことがあるじゃなくて、
<ん、すげー美人>って感じたからさ」

「今度は調子のいいこと言ってぇ」
 
「イヤ本当さ、まず足綺麗だろ、服のセンス抜群、バッグもお洒落、
ヘアスタイル決まってるし、お化粧もバッチリ、」
「綺麗だよ、ダントツさ、もちろんピチピチ感は落ちるし、ハリもちょっとネ」
「でもその辺の、若い娘にはない色気そして存在感かな<私はここよ>なんて」
「曲りなりにも、人生堂々?歩いてきて<悔しかったら真似してご覧!>的な迫力あるね」
「言ってみれば一人の女優よ」
 
「ほんとに、持ち上げてくれるわね、何にも出ないわよ。」
―――相変わらず、このくそオヤジ、女を喜ばせる文句はよく知ってるわね。
可愛い女には誰彼こうなんじゃないの。
でも悪い気はしない。
あれだけ落ち込んでいたのに、少し自信?が沸いてきた。
 
いつまでも後ろ向きでいてもしょうがない。
 
着物着付けの師範を取ったら、今度は若い子に教えてみたらって言われてるから
それもいいかも。そうすれば給料もらえそう。
 
ピラティス教室、実はインストをしていて前からインターネットテレビから
取材させて欲しいと言われていたんだけど、、、受けてみようかしら。
 
それと、うーーん、今習っている英会話、気になるイケメン英国人の
個人レッスン頼んでみようかしら。
うわぁあどうしよう、ドキドキしてきた。
 
「どうかしたの、何か顔色明るくなったよ。」
「悪い事たくらんでるんじゃないの、慰謝料たんまりもらって離婚するとか?」
 
「その選択肢無いことはないけど、まだ早いわ。今度そうね半年したら又会ってくれる?」
「その時はおいしいご飯ご馳走してネ。面白い話聞かせてあげられるかも、、、、、」
 
 
――――、味噌には全く関係ない文UPしました。
そうとう前に書いた文章ですが、少し手直しして載せました。
これでもこの文完成するのに結構かかりました。
最後のオチがなかなか出来なくて、、、
 
今度久々この文のモデルになった女性とランチの予定、
どんな話が聞けるか楽しみ。
 
―――とまあこの話を書いてからさらに20年経ってる、てことは彼女は
もうとっくにお〇〇さん?!今はどうしてるかね?

 

2020-07-08 11:22:07

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