オヤジの独り言
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『わかって下さい』
最近『ジェットストリーム』に代わって
『昭和歌謡の泣ける歌特集』なんてのにはまって毎晩寝ながら聴いてます。
昨晩たまたま因幡晃のを聴いてたら
「わかって下さい」て曲にこんな歌詞がありました。
『涙で文字が滲んでいたら分かって下さい』
この行を聴いてふいに思い出したことがあります。
今を遡ること52年前、卒業して東京に出てきて3カ月、
右も左も分からないままウロウロしてたのが
ようやく仕事にもやや慣れて、
その日も私が主催した社内ボーリング大会がアフター5に行われる日でした。
「君に郵便来てる!」数ある郵便物に紛れて私宛の封筒がありました。
手に取ると見慣れた文字が、
「懐かしい、」
卒業、引っ越し、上京、就職とバタバタしててすっかり連絡もしてなかった、
大学4年間付き合ってきた彼女からだった。
ふうん近況報告かな、何気なく裏返すと
「んんー、」苗字が違う!
なんと、なんといつも書かれてる名前の苗字が違ってる!
「てことは、」急いで封を開けようとすると、
「土平君!今日のボーリング大会メンバー表出してくれた?」
「ハーイ、直ぐ出します。」
仕方ない後でゆっくり読もう。
案の定、ボーリングしてても苗字が変わってることで頭が一杯!
何でだ、どうなった、ひょっとして、どーなってんだーー!
ひたすら上の空で夢中で投げていたら最高スコア221、
何と優勝!
でもそれどころじゃないんだ。
飛ぶように帰ると震える手で封を開ける!
『、、、もうお分かりかと思います、
私苗字が変わりました。
結婚してちょうど1カ月になります、、、、、、、』
『でも、』
『本当はアナタと同じ姓になりたかった!』
『本当は、本当は、、本当は、、、それを思うと涙が涙が、
涙が溢れて止まりません!』
ポツリ、ポツリ、とポタポタ、そしてド―っと涙の跡が!
―――白い便箋のインクが滲んで
それが乾いてしわしわになっていました。
滲んだ便箋を書き換えることもなく、
そのまま書き続けて思いの強さを伝えたかったのでしょう。
私とて考えない訳じゃなかった、
しかしまだ慣れない東京で働き始めたばかり、
4年間付き合っていたとはいえ、
結婚など出来る訳ありません。
彼女には彼女なりの事情があったのでしょう。
まだ田舎にいる頃東京に出てくる少し前、一度電話で、
よく訳が分からないこと言ってたのを思い出しました、
あの頃は電話というものはもちろん
電話台に置かれて動かせません、
しかも居間にあったので家族全員に聞こえていました。
二人だけの込み入った話等出来る訳ありません。
本当は私の真意を聞きたかったのでしょう。
ひょっとして、結婚話が進んでいて
自分でどうしていいか分からず、
とにかく私に電話せずにいられなかった。
――なんでもっと真面目に聞いてあげなかったのか、
彼女の立場になって考えてやれなかったのか、
それは上司からの紹介だったり、加えて周りからは祝福の嵐、
断り切れずにやむなく、そのまま結婚、、、なんてことも、
私が新しい東京の生活にバタバタしてる時には
そう新婚生活が始まった。
―――そしてその後何とか気持ちの整理もついて書きだしたものの
書いてるうちに感極まって泣き出してしまった。
僕だって好きで好きでたまらなかった、
結婚できたらどんなに幸せだったか、、、、
思えば思うほど、
やはりやはり涙が涙が止まりません!
でも今となってはどーしようもありません。
―――庭に出て泣きながら封筒ごと手紙を燃やしました。
―――10年の初恋の終わりーー、
彼女を知ったきっかけはこう、
―――あれは中学1年始まり頃のある日、
隣の男と組んでの日直当番、
その頃は未だ給食がなくて、
弁当か購買部でパンを買って食べてました。
その日の日直当番がパン希望者の数をまとめて購買部に頼んで
ランチタイムに取りに行く段取りになっていました。
その日も二人してパンを取りに行って配ったのは良いのですが、
うっかりして二人とも自分たちの分を頼み忘れて、
何も食べる物がなくて、ポーっとしてました。
するとその時、後ろの席から
サンドイッチとおにぎり一つが送られてきました。
かわいそうに思った後ろの列の女子二人が自分たちの分を半分
分けてくれたのでした。
お陰で少しはお腹の足しになりました。
休憩時間二人でお礼に、
一人目は「いいから、いいから、そこ邪魔!」遊びに忙しいみたい。
もう一人は「日直ご苦労さん、うっかり忘れちゃったんですね、
少しばかりでごめんなさい!」
グッときました、それ以来彼女のことが気になり出しました。
常に気持ちの中に彼女がいました。
2年3年クラスは変わってしまいましたが、
彼女は何か益々きれいになって行くみたい。
陸上部で運動場を走ってる姿をよく見かけました。
――なんてきれいな走り姿。
でもそれ以来一度も言葉を交わしたことはありません。
高校も別々でお互い電車通学、
乗る駅は一緒ですが下りるのは私が一つ先。
でもそれこそ、片思いは増すばかり。
普通ならもう一つ遅い電車で乗っても
学校には十分間に合うのですが、
彼女が必ず乗るのは分かっていたので、
一つ前の電車で通いました。
おはようって言うこともなく、
ただ同じ電車に乗ってるてことで幸せでした。
ああ今日も一緒だ、嬉しい。
一度帰りの電車で、彼女が乗って来ることがありました。
あーっ彼女だ!左側のドアサイドにいた時右ドアから
彼女が乗ってきました。
目が合った訳でもなく、
彼女は友達とおしゃべり。
心臓はドキドキ、学生服の中は汗びっしょり!
駅に着くまで、ただ下向いて額の汗を手で拭うだけ。
人が見たら変なヤツ、暑くもないのに汗ビッショリ、と思うでしょう。
当時としては大半の高校生がそうであった様に
特別な女性がいる訳でもなく
バスケ部で3年間何事もなく過ごしました。
さすがにこんなんばっかりしててもしょうがない。
そこで、大学受験も無事終わったある日、
彼女と同じ高校に通ってた男友達の家に遊びに行きました。
「おい、卒業アルバム見せてくれよ。」
ページをめくりながら彼女を探しました。
あった!3年D組
友達がお茶をとりに行ってる間に、
最後に載ってる住所録(当時は当たり前にありました)を調べる。
住所と電話番号をしっかりメモして、
お茶飲むのもそこそこに家に帰ると、
初めてラブレターなるものを書きました。
『中学の時からずーっと好きでした、、、』
ポストまで行ったものの手紙を入れられず、持ち帰って又書き直し。
なんて繰り返し、、そしてついに投函。
暫くして返事がきました。
来ったーーあ!大喜び。
と言って大した進展もなく、
最初に会ったのが数か月後の夏休み。
何処で会ったかって?
なんと学校の下駄箱。
岐阜から帰省しててお互いの母校である中学校の下駄箱です。
休みで誰もいません、
ただ結構暑かったのは記憶にあります。
こちとらなり立ての大学生、片やれっきとした社会人。
何を喋ってたのかはすっかり忘れました。
別れ際にはお仕事頑張って、としか言いようがありません。
いわゆる遠距離でそんなには会えません。
でも下宿には沢山の手紙が来てました。
名古屋で食事したり、岐阜にも遊びに来たこともありました。
一緒にハイキング程度の山登りもしました。
正直大学生活中、何回か他の女性と付き合いかけたことも、
でも途中で辞めました。
今思えば何ともったいない。
ま、それだけ彼女に惚れていたのでしょう。
成人式の集合写真で彼女、
ベールの付いた帽子を被っていました、
何と大人びてエレガントに見えたことか。
その日も会うことはなくサークルの行事で岐阜に直行。
3年はサークル(ワンダーフォーゲル)の主将だったので
かなり忙しい1年でした。
4年は卒論と学生運動に明け暮れて、よくデモにも行きました。
新聞社の採用試験に落っこちて、
オヤジのコネで東京の味噌問屋に、―――その会社を通して
うちの味噌を三越で売ってもらってました―――
就職することとなりました。
そう彼女とのことは考えてなかった。
その会社の寮に住むことに、――で布団は、机は、何着る?
あれこれしてるうちにもう上京しなくっちゃ、
彼女の電話のこともすっかり忘れて、、、
寮に引っ越し、仕事が始まり、
右も左も分からない東京での一人暮らし、
自分の明日さえ分からない無我夢中の毎日。
休みには一人で新宿に、
なんて人が多いんだ、
ふうん、ジャズ喫茶がある、「木馬」
―――少しづつ慣れてはきたかな、
うちの三越の味噌、パッケージ変えた方がいいかも、
久々ボーリングもしたいかな。
東京の暮らしも悪くないな。
少しづつ周りが見始めてきた。
そう言えば彼女どうしてるかな、、
でもその先のことは、まだ余裕が、、、
そしてそんな時、飛び込んできた、突然の手紙。
――22歳の別れ!もう52年前か、
―――携帯、メール、ライン、――あの時こんな物があれば、
運命は変わっていたかもしれません。
♪これから寂しい秋でーす、
たまたま聴いた歌から思い出してしまいました。
少なからず盛ってはありますが、もう半世紀以上も前の事、
カビの生えた話としてご笑覧下さい。
2022-10-04 12:00:45
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――前に載せていたブログがなくなって寂しくなったので、
また少しずつreUPします。まぁ自分としてはよく書けたかな、、、、てのを。
『優しい男』
あら又来てる。
美雪(仮名)の彼氏が車でお迎えよ。
雨が降ると決まってしかも1時間半もかけて迎えに来てるのよ。
よっぽど惚れてるんだね、ラブラブで羨ましいこと。
私はこの店――今流行のセレクトショップ、
のアルバイト46歳、
主人を事故で亡くして以来一人で
子供二人を育ててる、けなげな未亡人。
今は休憩に出てるこの店の店長の美雪さん、
40は過ぎているんだけど、
若々しくてどう見ても20台後半って感じかな。
女性の私から見てもなかなかチャーミングで明るくて
スリムでも出ている所は出て、メリハリの利いた体をしている。
ショートカットがお似合いで、えくぼが可愛い、
人当たりは最高。
彼氏がべた惚れなのも分かる気がする。
一緒に住み始めて4年って言ってたわ。
子供はいなくて、籍も入れてはいないらしい。
コンピューター関係の会社を経営している彼氏はバツイチ。
前の奥さんと子供二人には養育費を毎月払っていると言う。
彼も大変ね。
でも会社は順調で、最近又関連会社を又一つ立ち上げ
それもうまく行っているらしい。
何でも6年程前、クラス会で既に結婚していた彼と
美雪さんが偶然再会。
以来何回も会って食事したり飲んだりしている内に
仲良くなってしまい
彼氏奥さん子供と別れて正式離婚、
二人で同棲して4年。
雨が降ると今でも車でお迎え、
もう30分も待ってるのよ。
私もあんな彼氏ほしい。
夫が仕事中の事故で死亡。
公務員だったので経済的には困らないけど、
やはり女手一人で
子供を育てていくのは並大抵じゃない。
結婚―――したいとは思うけど、なかなかいい男っていない。
どんな男が良いって?そうね<優しい人>がいいわ。
でも<優しい>って何かしら?
ああして遠くからでもいつでも迎えに来てくれる彼、
優しいには違いないけど、でもよく出来るわね。
何かよほど後ろめたい事あったりして。
いやだわ中年女はすぐそういう風に考える、良くない。
純粋に彼女が好きなのね。
それで彼女美雪は満足なのかしら?
一緒に暮らして、朝は駅まで送ってくれて、
早く帰ったらご飯用意して待っててくれて、
女冥利に尽きるわね。うーらやまし。
でも籍入れないし、子供作らないし、もうじき42よ、
彼女子供欲しいって言っていたし、
なんでもっと早くに作らなかったのかしら。
やっぱ別れた奥さんとの子供の事があるのかな?
小学生の男の子、
両親の離婚が原因で?引きこもりになってしまい
登校拒否してるんだって、それも困るわね。
彼も会ったりして色々話もしてるんだけど、
どうもうまく行ってないみたい。
多分に責任感じてるね、俺のせいだってね。
だから子供作って自分達だけ幸せになることに
罪悪感?感じてるんだ。
勝手な事しておいて、
いまさら別れた子供が心配なんてね。
自分が惚れた女と一緒にいたくて、
前の女房とは一方的に別れておいて、
残した子供達とも仲良くしたい、それは無理よ、
両方うまく行く訳ないのにね。
別れた女房子供たちに優しくすればする程、
美雪に悪いなって思うんだよ。
美雪に優しくするのは
その後ろめたさの裏返しなんじゃないかな。
だったら離婚なんかしなきゃいいのに、
私だったら愛人でいいわ。
変に気を使って一緒にいてくれても返って迷惑よ、
こちらだって気使うじゃない、何かと。
だったら前の家族の事はキッパリ片付けて、
もう別れたんだから後どうなろうが知った事か
、お前らはお前らでうまくやれよ、
と開き直るしかないのよ。
子供たちにとっては十分悪い男になってしまったんだから、
「くっそう、俺たちをこんな辛い目に合わせやがって、
自分勝手な奴、お前なんか死んじまえ。」
子供たちから憎まれ恨まれても
それを甘んじて受け入れる覚悟がなきゃ、
今更物分りの良い優しい父親ぶったってダメダメ。
子供たちだっていずれ分かるわよ、
ああ父さんは母さんより好きな人が出来たんだ、
我慢して一緒に住む事より好きな人と居る方を選らんだんだ、
だから別れたんだ。
でも僕らのことは考えてなかったんだ。
自分勝手な奴さ、しょうがねえ、たちの悪い親に生まれちまったよ。
でも僕等はお母さんの味方さ、
母さんを悲しませる様なことはしないさ、
なんて子供達が考える様になるのをーーーなるかな?待つしかないさ。
お前らが不幸で居る間自分たちも幸せにはならないよ、
て言うのはどうみてもおかしい。
それに付き合わされる美雪がいい迷惑だよ。
自分らが幸せになるために出した結論なんだから
幸せにならなきゃダメじゃん。
でなきゃ何で自分たちが犠牲になったのか
子供たちにだって分からないでしょ。
望みうる最高に幸せな人生を送りたい、そのためにベストを尽くす、
それが当たり前なのに、
適当に妥協して生きるのなんて最低。
美雪を選んで一緒に暮らす事を決めたんだから、
ちゃんと結婚して、籍も入れ、子供を作って
しっかりした家庭を築いて行くのが筋って言うものじゃない。
そう言う風に女を引っ張って行くのが
<男の優しさ>なんじゃないかな。
車でのお迎えはどうでもいいのよ。
さあーーー私を迎えに来る男はいないし、
雨の中一人で帰ろうっと。
そうだ今デパート行けば、惣菜なんか半額よ。
よーし、ヒレカツでも買って、ついでにサラダも。
近くの味噌屋で買った信州白味噌あるから、
おいしい味噌汁作ろうっと。
そうそう最近はばかにフレンチっぽいおかずは作るくせに、
味噌汁はインスタントで済ましちゃうって
家庭が増えてるってTVでやっていたけど、
あれはおかしいわね。
まるで逆よ。
味噌汁が作れない主婦なんているの?バッカじゃない、
一番簡単でおいしいんじゃない。
なんつったって日本人は味噌汁よ、
体にも良いし直ぐ作れるし、
家なんて味噌汁ないと子供達がっかりするもの。
聞いた話じゃ、最近話題の放射能にも味噌がいいって言うじゃない。
なんだかんだ言っても二人の子供達うまく育ってくれたもの
味噌汁のおかげ。
他に大したおかずなくても野菜たっぷり具沢山の味噌汁
作ったりすればちょっとしたおかずよ。
合わせみそにして味変えてみたりしてもすると
子ども達大喜びよ。
残り物の茄子油で炒めて味噌ちょっと甘くしてかけてみたりもするわ。
なにせ私働いてて忙しいんだから
手の込んだ料理なかなか作れないのよね。
だけど味噌汁は欠かしたことはない、これが愛情よ。
だから子供たちも素直で元気に育ってくれた。
なまじ気取った横文字の肉やらバターいっぱい使った料理作って、
インスタント味噌汁飲まして平気でいられる
主婦の感覚が分からないわね。
だから自分勝手なわがままな子供になっちゃうのよ。
もーっと若い主婦たちがこれからどんどんおいしい味噌汁作って
子供たちに食べさせるようになれば
やさしく、素直で、元気で、頭の良い子が育ち、
日本の将来も明るくなるって言うもの。
あはっ、私ってまるで教育評論家みたい。
あっ店長帰ってきた、さあ本当に帰ろーっと。
―――教育評論家と言えば、すっかり有名になったオギママこと
尾木直樹さん昔も今もよく来て下さいます。
―――優しい男はどこ?
―――なあんてこれも10年以上前に書いた文章(フィクション)、
UPして消して又UPして
消してそして再々UP
話の途中に出てくるインスタント味噌汁を飲ませる家庭が増えているって
TVが言ってたの件、
これは本当にあったこと。
当店も関係していることなので別の機会に詳しく報告します。
――――このストーリーもお蔵入りすること10数余年、
ヤッパ奥から引っ張り出して載せることにしました。
2021-09-29 14:05:07
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06年3月10日(金)朝、フジTV『特ダネ』で
放送されました、番組内容につきまして、
前前日取材されましたものが、当店の目指す方向とは
違う番組内容に使われてしましました。
当日番組取材に応じて下さいましたお客様には
不快に感じられた方もいらっしゃるかも知れません。
お詫び申し上げます。
今後は、番組目的(どういうことに使われるのか)を
確認の上取材に応じて行きたいと思います。
ソイビーンファーム
―――これを拡大して店頭に貼り出しました。
考えてみますと取材当日から
おかしいなとは思ったんです。
リポーターの人がロールキャベツを食べる際に、
柔らかいので箸で食べれますって言っても
無理やりナイフとフォークで食べるんですよ、
理由が分かりました。
オンエアー当日その映像見てMCが裏返った声で
「俺は味噌汁ナイフとフォークなんかで食いたかねーよ!」
って言うじゃないですか。
他に4軒紹介されましたが大抵そんな感じでした。
「俺はトマトの入った味噌汁なんか飲みたかねえや!」
そして番組最後に、
ある家庭でお母さんが手作りで作った味噌汁と
インスタントをお湯で溶いただけの味噌汁食べた後、
どっちらが美味しいですか?って聞いたら
お父さん子供二人全員が
「インスタント味噌汁!」
って言うんです。
つまりはこの特集の結論として、
これからは味噌汁は生味噌を使うんではなくて
インスタントの時代になりました、
ということでした!
何のためにわざわざうちの店まで来て
お客様までインタビューしたのか、
訳分かりません。
とどのつまりがもう生みその時代は終わりました
これからはインスタントの時代です
ーー何をバカなことを。
―――確かに実際生みその消費量は年々減っています、
逆にインスタントみそ汁は増えているし
味も悪くはありません。
因みに紹介された5軒は少し前他局が
個性的な人気のみそ汁を出すっていうので
番組で取り上げた店ばかりでした。
当店なんか生みそを最大限色んな使い方でお客様に食べて頂きいかに楽しく料理ができるかを分かって頂きたく長年続けてきました。
出来れば味噌の使い方ひとつで
どれだけ幅広く美味しくて栄養満点の料理ができるか
と言うことをTVでしっかり伝えて欲しかったのですが
、、、、、残念です。
うちで働くバイトのおばちゃんなんか
「直ぐTV局に抗議しなくちゃ!」息巻いてました。
――この番組ご覧になったんでしょうね、
ブティックのおばちゃんもあきれ顔で
「ったくね、何考えてるのかしら」感想おっしゃってました。
―――とまあ昔の話をぶり返しても仕方ありませんが、
旧店舗で34年もやってれば色んなことがありました。
このブティックのおばちゃん久々に新店舗にも遊びに
来て下さったので、
性懲りもなく『お詫び』の文章も載せてみました。
2021-09-29 14:04:26
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――― 一向に終わりの見えないコロナ情勢、
いい加減家にいるのもしんどいし
かと言って何処へ行く訳でなし、
苦し紛れに20年も前に書いた文があったので出してみました。
時間つぶしに読んでみて下さい。
『ある相談事』
携帯が鳴った。
メルサ、珍しい、3年程前半年位か、
うちでバイトしていたことがある美大の学生だ。
メルサは私がつけたあだ名。
「よ、珍しいじゃないか、元気でやってるか?えー何か元気ないな、どーした。」
電話の向こうで泣いてる気配。
「元気そうじゃないな、どーしたんだよ、彼氏にでも振られたか?」
《振られてないけど、辛くて、どーしようもないの》
「えーーっ話よく見えないな、何泣いてんだよ」
《今日何時でも良いですから時間あります?》
「時間?まあ今日の夜なら空いてるけど」
《夜で良いですから、ちょっと話聞いて下さい。
実は不倫してるんです。》
新宿駅東口で待ち合わせると、思ったより元気で照れくさそうに現れた。
じゃあ飯でも食うか。
この界隈じゃうるさそうなのでタクシーで神楽坂の馴染みの店まで来てみた。
まーちょっと飲みながら、と話を聞いてみるとこんな具合。
内の店を止めてから、バイトに入った出版社、の上司
まあやり手の営業マンがその相手。
よくある話。彼女は22歳男は32歳。
不倫と言うくらいだから、相手は女房持ちで子供は生まれて3年、
やや親の手を放れてきたかって位かな。
そーこの頃がやばいんだよな、男にしてみれば、
仕事はまあまあ出来る用になり、
自信らしきのもができてきた様な感じがするんだ。
そこに若い何も知らないけど好奇心はいっぱいありそうな子が現れると
つい誘っちゃったりもするんだよな。
学生じゃ行けないようなちょっと気取ったレストランなんかに連れて来られると、
なんか大人になった様な気になって、
女の子もつい食事以外の所にまでもついて行っちゃったりして。
俗に言う不倫って言うと大層に聞こえるけど、
要は家庭持ちの男性とHしちゃった、
只あんまし悪い事とは思ってない。
この人いいな、と思ったけど女房子供持ち!
でも誘われれば付いて行く、
今時のありがちなパターンではある。
男の方にしても、
家へ帰れば口うるさい女房とかわいいけどやんちゃな子共が待っている。
女房の愚痴を聞き、子供にまとわり付かれながら、
たまには遊んでやったりの平凡な毎日に
ピチピチの若い子に、しかも自分に気があると分かれば
そちらへついふらふら行ってしまうのも
あながち無理もない話しではある。
普通ならそこで周りには分からないようこそこそ会って
暫く付き合ってみるものの、
やはり先がない事は承知の上だから、
些細なことで喧嘩などしているうちにだんだん会う回数が減ってきて、
女の方に彼氏ができたのを境にお終い、
と相なってしまうのが相場と言う物。
あえて不倫を正当化しようとは思わないけど、
どだい一人の男と一人の女が一緒になって
死ぬまで誰も違う異性を好きにならずにいる事の方がいおかしい。
そもそも結婚と言う制度で一夫一婦制を決めたのは
人類の歴史から見てそれ程古い事ではない。
社会制度が確立してきてより国民というか被統治者を
より支配いやすいように、
国家と言う社会集団の最小単位としての家族、
その家族を夫妻子供と言う絆できつく縛り上げ
よりその国を強固な集団として作り上げる
手っ取り早い方策として、である。
――まあ誰に聞いたのか訳の分からない屁理屈はその位にして、
生物学的にみても、ライオンは集団で生活するが
雄ライオンは直ぐ違った雌にも子供を産ませる。
雄は常に種保存の本能に従って行動する。
人間だって一哺乳動物に他ならない。
結婚していようが気に入った女性が現れれば
鼻の下を伸ばすのはすこぶる自然なことではないか。
しかあし今は高度に文明化された平成の世の中、
ライオンの話はアニマルチャンネルで見るだけにしておいて、
現実に戻ろう。
歌の文句に
<分別のある恋なんて本当の恋じゃないこと、知ってるわ、、、>
これが歌の文句ですめばいいけど、いつかわが身になる事もあるんだな。
もちろんこんなことは良くないとあえてキッパリ分かれるカップルもいる。
それはそれで分別あって結構、只それができない、
そう言うカップルにあえて正しい?
不倫としての付き合い方をお教えしよう。
妻子ある男、かみさんより若くピチピチした若い女性に好かれたら
悪い気はしない。
つい手を出してしまい、のめりこむ、忘れられない、会いたい、したい、
良く解るよ。
体力もあって、少々でも自由になる金もある。
会いなさい、時間と金の都合がつくだけ会いなさい。
しかしこれは悪いことです、
妻子供への裏切りです、これは自覚しなさい。
変に居直ったりして「俺は悪くない、こうさせたお前が悪いんだ、」
みっともないだけです、お止めなさい。
そしてデートして遅く帰って一人風呂に入ったら、謝りなさい。
神様でも、お釈迦様でも、仏様でも、
ごめんなさい、又今日も家族に嘘をつきました、裏切ってしまいました。
でも家族にはその分充分な償いはします。
そして働きなさい、息つく間もなく働きなさい。そしてここが肝心。
今度会うとします。
仕事がうまく行った時、上司に褒められた時、
すこぶる調子が良い時会いなさい。
そして出来うる限り良い店に行きなさい。
素晴らしいコンサート、評判の映画見なさい。
おしゃれして普段ではあまり高くて行けないレストラン予約しなさい。
ややもすると、彼女の部屋上がりこんで二人でいちゃいちゃ、
やりまくりの、ぐだぐだ、
そうでなくても未来が無い二人、堕ちて行くだけ。
そう彼女の女プリ上げてやろう、
誰より良い女にしてやろうって思いなさい。
そうすればあなたの男ブリ上がります。
逆に仕事で失敗した時、気分が滅入っている時、
誘うのは止めなさい。
会ったとしても愚痴話、つまりません。
相手も嫌な気分にさせるだけです、
ましてや慰めてもらおうなんて甘ったれ気分では不倫は無理、
一人で我慢しなさい。
男はつらいものです、恋人を100幸せにしたら、
家族にも100幸せにしなさい、
家族へのフォロー忘れてはいけません。
そして二人のこと絶対他人には分からせない事、勿論家族にも。
すぐ調子に乗って会社の仲間達に
「俺さー今女がいてさー、10歳若いんだけど、、、」
言いふらす馬鹿がいるけど、最悪、この時点ですでに不倫失格。
絶対誰にも知らせない分からせない。
ふたりだけで分かり合えばいいのです。
そして肝心なこと、子供は作らない事。
あなたは何代か前のフランス大統領ではないのですから、
新聞記者に向かって、
「エ、アローロ(それがどうした?)」じゃすまされません。
でもこの生活が永遠に続く訳はありません。
心しておきなさい。明日別れが来るかもしれない、と。
女性は一晩で変わります。
たとえその時が突然訪れようと、
甘んじて只受け入れる他仕方がない事覚悟しなさい。
“人生思うようには行かないな、”
一人つぶやいて諦めなさい。
そして何事もなかった様に家を出て、
いつもと同じ様に仕事しなさい。
男の話はさておき、女目線で考えてみよう。
本来女性はわがままで自分勝手、それが普通なんです。
こう言う恋愛事情については全く自分本位でいい。
まず自分の言う事を聞いてもらう。
自分の損得を好き嫌いを基準に考えることだね。
相手は二の次、自分のしたいこと、楽しい事、食べたいもの、
それで文句言われるなら止めればイイ。
まあ法外な要求は避けたほうがいいが、
何に付けどんな場合でも、金は一銭も払う必要はない。
全部相手に負担させなさい。これ当たり前。
でも感謝の気持ちだけは伝えなさい。
「ごちそうさま、美味しかった。」
そうこうしてて、
「今日持ち合わせがないから払ってよ」が二回続いたら、
潮時、別れなさい、
考える必要なし。
これ以上付き合っても頼られる一方、
カモにされるだけです。
相手が払えるぎりぎりの線で思いっきり楽しみなさい。
そして相手には自分のこと、一人前の大人の女、
人格を持った一人間として、
LADYとして接してもらいなさい。
自分の所有物、言いなりになる女だとは決して思わせないこと。
自分の身は自分で守る。
危ない日に相手の欲望にまかせて生でやらせたりは絶対ダメです。
痛い目をみるのは女性あなたです。
まあそこも考えないような男はその時点ですでに×だけどね。
そして、もし結構長く付き合って、
相手が「今のかみさんとは別れるから一緒になってくれ、」
なんて言われて有頂天になってはいけません。
確かにずーっと一緒にいたい、
朝までいられたらなあと思うことはあるでしょう。
でもそれは明らかに絶対このスリリングな非日常的状況だからです。
結婚してずーっといられるのとは、全く訳が違います。
それが日常になってしまったら、
必ずあなた引きます、冷めます。
あれっこの人本気になってきたと感じたら、悪い事は言いません、
即止めなさい。
相手が離婚した時点であなた醒めます。
今までよくしてくれてありがとう、
辛いけどやめましょう。
これは二人にとっても結果いいことなんです。
普段なら見られないお芝居、コンサート、豪華な食事、
贅沢三昧の旅行、
いっぱい貴重な経験させてもらった、勉強もした。
ものを見る目ができた、男を見る目も。
これが大事、これを武器にしない手はありません。
今度は本当に生涯付き合える男を捜しなさい。
ここまで人を好きになれたんだから、
恋愛はいつでも出来ます、必ず見つかります。
しかし、
メルサは相当なMだ。
彼女みたいに思いつめたり、のめり込んでメソメソするのはまれだね。
ましてや相手には家族がいる。
一歩引いて構えるのが普通じゃないかな。
聞いているとどうも相手にいい様に遊ばれてるとしか思えない。
要は都合のいい女なんだな。
こう言う男に限って、相手が自分の思うようにしないと、
暴力振るったりするんだ。
DVになる前に身を引くべきだ。
私の不倫感に相容れないものがあるから、
即止めなさい!と言ったんだけど、
何と言うか、そういう心情的にも自分を追い詰めて
どうしようも無い状況でもがいている自分を
見るのが好きなんだな。
ちょっと頭を冷やしたほうがいい。
「気分直しにどうだい二人で温泉でも行こうか?」
(半分本気で?)冗談言ったら、
その後電話しても
<この携帯の番号からは先方様の携帯にお繋ぎすることはできません>
―――――いわゆる着信拒否
落ちが出ました。お後がよろしいようで、、、
――――そうですね、これもかれこれ20年以上前に書いたものです。
あれもダメこれもダメの何にも出来ないコロナ禍の昨今、
あえてヒンシュクを買うのを承知で思い切ってupしてみました。
もちろん《フィクション》です。
2021-08-27 09:55:56
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『社長、今日の売り上げ9200円ですが、どうしましょう。』
『しょうがない、僕が千円入れとくから1万200円でレジ閉めてくれ。』
あーーあ今月も赤字だ。
暮れも近い11月終わりに開店して半年、
それこそ開店1,2週はご祝儀売り上げでまづまづだったのが、
年を越すとガタッと売り上げが落ち、
一日開いていても売り上げが一万円に満たない日が続いた。
これじゃあしようがない、バイト代も払えない。
そりゃそうだよな、《ミソスープハウス》なんったって、何の店か分からない。
そば屋とか寿司屋とか、ラーメン屋って言えば直ぐ、あーーそうか分かるけど、
何せ味噌スープ屋ったって、何じゃこりゃ、だよな。
味噌汁飲ませる店かと思いきや、そうでもない。
何々、ロールキャベツのゴマクリームソース?牛肉と大根のポトフ?
ブイヤベース?
今でこそポトフもブイヤベースもファミレスの定番メニューにあるけど、
23年前は誰も知らない。
渋谷で1年間味噌の量り売りしてみたものの、
味噌の売り上げだけではどうしようもない。
そこで、味噌を使った料理を出してみよう、
それも和食ではなく、洋風料理を出そう。
て言うか和でも洋でもない今の生活に合ったスタイルの料理を出そう。
場所は若者や若いお母さんの多い吉祥寺がいい。
何処にもないメニューで誰もやったことのない店を出そう。
こう言う風に味噌を使えば、いつもとは違う、
そうお客様にも出せる料理が出来ますよ。
色んな味噌を使って我が家の新しい味を作りましょう。
そうすれば味噌もじゃんじゃん売れるし、これはいけるぞ、
と思いながら開店してはみたものの、、、
そうなんだよ、誰も知らない訳の分からない店には誰も来ないって事、
考えなかった。
お陰で、ロッテの渡辺投手のあのアンダースローのボールのごとく
地を這う様な売り上げが続いた訳です。
ええいこうなりゃ我慢比べ、
味はおいしい、一度食べた人は必ず又来る筈。
石の上にも3年。つらかったね、
ちょうどバブルの絶頂期で渋谷に8千円の味噌汁を出す店まで出来て、
そこに群がるように人が集まる。
なんだそりゃ、だね。
地価はどんどん上がり、どの店も大入り満員。高級物がバンバン売れ、
皆が夜遅くまで遊びまくった時代、
そうジュリアナ東京のお立ち台でワンレンボディコンのお姉さんたちが
踊りまくっていた時。
どこにそんな金があるの?
そのお金や札束はうちの店には来ないで、屋根の上を通り過ぎただけ。
何の恩恵もなし、相変わらず暗い日々ばかり。
歌にあった、『夜明け前が一番暗い』
今が一番暗いんだ、
そのうち夜が明ける。夜明けの来ない日はない、いつかきっと夜が明ける、
がんばれ、もう自分に言い聞かせるしかないね。
弾尽き矢折れても体力の続く限り、只一人になってもやり抜く。
がんばれば何とかなる!がんばれば、
そんな毎日が続いた。
その頃無国籍料理なるものがブームになり渋谷のNHKの近くに評判の店があって行ってみました。
うーーんこのソースうちの料理にもいけるな、味噌入れてみたらもっとおいしくなるかもな、色んなソース作りにチャレンジ、
その一つが今も人気の八丁ワインソース。
豚の味噌漬けも案外いけるかも、肉の厚さ、味噌の種類、混ぜるお酒は何が合う、――やっぱ赤ワインだ!で出来たのが今定番料理の味噌漬け豚丼――30年経った今でも同じ味噌床使ってる!
どんどんレパートリーばかりが広がって行く。
――じわじわ売上は上がってもこんなんじゃまだまだどーしようもない。
でもたまに『エッ、今日まーまー売れてるじゃん!』
――どっち付かずのの日々が続く、、、、くっそう今度ぁ何やりゃあいいんだ。
売れても売れなくても時は容赦なく過ぎて行く。
そうこうしてるうちに、いくらか違った兆しが現れる。
――ひょっこりハナコが載せてくれたり、
TVの『トゥナイト』が番組で取り上げてくれたり、
そう誰もがやってないが故にマスコミが取り上げてくれ出しました。
この『トゥナイト』の取材でいきなり聞かれたのが
「あなたにとって味噌は何ですか?」
で答えが「パートナーです。」―――何年か前のセールの挨拶に書きました。
なんとなく回りがざわつき始めてきた。
「昨日お母さんから電話でTVで見たから行ってみなって言われたの」
近くの大学のあるサークルが
「今度追い出しコンパしたいから貸し切りでお願いします」
「結婚式の引き出物に好きな味噌詰め合わせ出したいからおしゃれに作って!」
―――8年が過ぎた、周りを見回すと何か明るくなっている。
そしてついに
お祭り騒ぎみたいなバブルがはじける!
あの時賑わっていた店はどんどん無くなる。
渋谷であんなに弾けていたみそ汁屋もいつの間にか、、、
でも代わりにうちの店の売り上げは急速に伸びて行った。
―――知らない間に夜が明けていた。
―――とまあこのコロナ禍の中、新店舗に引っ越しても思う様には売り上げが取れず悶々とする中、そういえば開店当初も苦労したっけなあと10年も前に書いた文章を引っ張り出して載せてみました。
2021-07-28 11:27:21
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去年立ち退きの話が出てやっと収まったと思いきや今年になってまたぞろきな臭い話が出始めて、今度は簡単に終わりそうにないどころかいよいよ立ち退きが本決まりになりそうな雲行きです。なので彼女にもしっかり引導を渡しておかないといけなくなりました。
えっ彼女って誰かって?よく言われるのが花子さん!そうトイレの花子さん。
うーん開店して3年くらいかな、まずまずの混み具合、ランチ食べ終わって窓際1卓のお客さんがトイレーー〝とんとん〟すると中から同じ様に〝トントン〟――仕方なく席に戻って『誰か入っているみたい』という会話、あれっもう一人のスタッフはレジにいるし誰も入っている筈ないのに、 そーっとドア引っ張るとーーー開いた!もちろん誰もいない。
お客さんも〝トントン〟の音聞いてるし厨房の私も確かに聞いてました。どういうこっちゃ、誰や。
それから暫くして何日か後、お客さんが帰る際スタッフ皆で『ありがとうございます』、とトイレの中からもくぐもった声で〚あ“りがとぉーうございま”すう〛の声が!――とこれが俗に言うトイレの花子さん!?ーーーでもいい奴じゃない!なんてこともありましたーーホントかよ。
トイレしながら便器に向かって『よーっ元気かっ!』
すると水槽上に置いてあるバスケットがユラユラ、相槌打つ訳ですーーー≪はーいい、元気ですよ≫なんて言っていそうな。これも開店3,4年くらいまでかな。その後はあまり感じなくなりましたて言うか起こらなくなりました。
でも当時二人の霊感の強い女性がはっきり『うんいるわよ』、『それ以上言わないで!いること分かってんだから!』って何故か怒られたりもしました。
そうそうこんな話もあったな。前に働いていたバイトが当時友達と朝一で旅行に行きたい。家からでは間にあわないので前の夜から店に泊まらせてくれって言うんで勿論OK。二人してソファに寝たらしいんだけど後で聞くところによると、夜中にトイレの方向から話し声が聞こえてた。多分隣のスタッフが残業してて話していたんだろうって思ってたらしいんだけど、隣に聞いたら最近は残業どころか8時には皆帰っていたと、てことはその声の主はやっぱハ・ナ・コ!?――バイトには言ってないけど。
最近いる気配ないけど、違う所に行ってるのかも、そのうち帰ってきて≪あれーえトイレがない≫どころか建物自体がなくなっていたらビックリするかも、
とまあこの建物自体木造で70年近くになるらしいので取り壊し止む無しですわ。
一時そう10年も前になりますか、突然天井裏からハネアリの大群が舞い降りてきて大変な騒ぎになりました。マツキヨで防虫スプレー買ってきて撒いたり、はたいたりスタッフ総出でハネアリ退治。残った羽の掃除が(ハネアリは一旦止まると羽が取れて普通のアリになって歩いて動く、取れた羽は軽いからフワフワ舞い上がる)ハンパない。開店時間が2時間遅れました。夏前にきまって3年続きました、穴を全部ビニールで塞いで画びょうで止めたら出なくなりましたーー出ても降りては来れなくなりました。
もっと前なんか、野良猫が天井裏に住み着いちゃって、あったかくて居心地良いんだろうね。そこへ侵入猫!縄張り争いで二匹して大喧嘩、天井中走りまくって店内より天井裏の方が賑やかだったりして、結局天井主が勝ったみたい。――猫と言えば生まれたての子猫が隣の店との境の壁の間に落っこちてしまって助けるのに一苦労――この話はリーフレットにもブログにも載せてあります。
――五年くらい前なんかよりによってハクビシンが入り込んじゃってもうーー動きが猫なんかより激しくて天井抜けるんじゃないか思ったくらい、おまけに火災警報感知器の上にピンポイントでオシッコなんかするもんだから警報鳴り出して消防車が駆けつける騒動にーーーまー後で気が付いたことだけど、最初原因が分からなくてーーホントもうなんとかして!
業者頼んで追い出してもらって直ぐ金網張って、――張り紙も≪猫及びハクビシン等獣類侵入禁止≫――誰が読むかい!
花子さんどころじゃない!なんせ年季の入った木造屋、お化けからハクビシンまで何だって住んじゃうんだから。
何れにせよ自然味!?溢れるこの建物がなくなってしまうのは寂しい限りですがこれも時代の流れで致し方ないでしょう。
間もなくきれいな新しいビルが建って花子さんも快適に?暮らせるんじゃないですか。今んところ年内にも立ち退きが濃厚になってきました。さあボヤボヤしてないで次行くところ探さなきゃ。
どうなることやら、決まりましたらご報告いたします。
2020-11-04 18:44:23
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―――だんだんブログも佳境に入ってきました。
味噌の話じゃなくて恐縮ですが、以前に書いたもので気に入った話を
そしてリクエストも多く頂きましたので載せてみます。
顰蹙買うのを承知のうえで、、、
もちろんこれはフィクションです!
『言い訳銀行』
「それで、昨日の夜は何処へ行ってたの?」
朝ごはんの用意を済ませると、自分もテーブルに着くなり、
さりげなく発せられた妻の一言に、
後頭部をがつんと真綿で包んだバットで殴られた様な衝撃が走った。
予期せぬ問いかけに、
一瞬目が宙をさまよった。彼女はそれを見逃さなかった。
「えっ、うん、あー、そのー」言いよどんでいると畳み掛ける様に、
「だから何処へ誰と行ってたかって聞いてるの!うーうーじゃないでしょ」
まずいぞ、これはやばい、知ってるのかな、
会社の後輩の女性と食事して、Hホテルへ行ってたなんて、
こんな事、口が裂けても言えない。
何とかうまく言い逃れなくちゃ、
焦ればあせるほど頭の中では色んな地名が大回転で回っている。
「渋谷」
いけね、彼女との待ち合わせの場所だ。
「へええー渋谷、渋谷の何処?」
バカかお前は、大体渋谷なんて40過ぎた男が行く場所じゃない。
これで半信半疑で問いかけた妻の疑惑が一挙に、ソファーの横に転がってる
バランスボールの如く膨れ上がるのである。
大体において、妻が夫の動向を尋ねる場合は大まかに三つに分けられる。
一つ目は何も疑ってはいない。只好奇心だけ、疑惑度0.
二番目、然程気にはしていないがひょっとして、疑惑度20%。
三番目、かなり怪しい何でも疑ってかかる、疑惑度75%。
一番目二番目はそれほど気にすることもない、ありのまま話せば問題ない。
もしくはさりげなく話題をそらせばいい。
注意すべきは三番目の疑惑度75%以上の場合である。
これを疑惑度0にまで限りなく近づけるにはかなりのテクニックが必要となる。
肝心なのは嘘をつかないこと、嘘は突っ込まれると必ずぼろが出る。
つまり嘘をつかないで言い訳をする、これが大事。
じゃあどうするかって?
先ほどの朝の夫婦の会話に戻ろう。
彼女の場合はおそらく日ごろの夫の帰宅時間やら何やらで
少し怪しいと睨んでいたのではないか、すなわち疑惑度50%。
そこへ来て『渋谷』なんて言うもんだから一挙に90%にまで膨れあがったのである。
これからどうするかって?
まあ言ってしまったのはしようがない。『渋谷』から始めましょうか。
「うん渋谷、取引先の若いのが今度渋谷フードショウに出来た新しい店見たい、
そう東急の、って言うんで、そこで待ち合わせして、
とりあえず見て、ちょっと試食もしてみたんだよ、
そしたらさ、仕掛けは良いんだけど、味がイマイチってとこか。」
「そりゃあ勿論味噌料理に関しちゃあお前とも行った吉祥寺の
あの店の方がダントツさ、それにそこは渋谷にしては値段が高い。」
「そうこうしていたら、その会社の部長の、ほらよくゴルフ一緒に行っていただろ、
北川さ、彼から携帯入って、今から銀座で飯食うから一緒に来いって言うんで、
ええっーと思ったんだけど、とにかく行った訳だ。」
「勿論その若い方のかれも一緒さ、まあ北川とも久しぶりだったし、
そうしたらなんと、接待の席じゃない、もちろんされる側。」
「そう銀座の飛雁閣なんったら大した店じゃん。僕なんかが行って邪魔にならない、
聞いたんだけど、大丈夫大丈夫気安い相手だからなんて言うから、
ご馳走になったんだけど、名刺もあんまし持ち合わせがなくて参ったよ」
話が込み入ってるけど、込み入ってる方が良いのです。
そしてそれを出来る限り具体的に話す、
つまり女性に想像力を働かせちゃ駄目なんだよ。
そしてここで重要なのは、この話が嘘じゃないこと、本当にあった事、
本当に過去に接待の席にのこのこ着いて行った時の事、
ただし昨日じゃない。
何日か何週か前に実際にあったこと。それをそのまま何も隠すことはない、
何のやましいこともない時の事、これをありのまま喋ればいいのです。
後ろめたい昨夜の事ではなく、何のやましい事もない時の話だから、
すらすら話せるでしょう。そして自分もその時の気分に入り込んじゃうのよ。
そうすれば奥さんだって信じ込むって訳よ。
これが私の言うところの《言い訳銀行預金》
過去に行ったことのある、それでいてかみさんには話してない所、
そしてその状況、誰とどうしてどうなったか、なぜ遅くなったか、
を《記憶の定期預金》として持っておくこと。これが大事。
夫婦だからといって何から何まで全てその日にあったことを洗いざらい喋ることはない。
あっこれは使えると思えば話さないでそっと記憶にしまっておけば良い
《しめしめこれで定期預金がまた増えた》。
そして今度それを引き出したら、ちょっとその内容を膨らませて話せばいい。
聞いていても楽しい様に、これが思いやり。
ちょっと話は反れるが、よく言われるのが、夫婦だから何でも話すのが大事。
楽しいこと、辛いこと何でも二人で話し合えば、楽しさも二倍になるってね。
だけど辛い事、嫌なことも二倍になるんだよ。
二人で分かち合えば辛い事は半分ずつ、これは嘘。
どうして一人の辛さを他人に背負わせるのか?
嫌なことは自分だけで我慢すればいいじゃないか。
かみさんとはいえ人にまで嫌な気分にさせる事はない。
話が横道に逸れたけど、さてと仕上げ。
いくらがんがん飲んで食べても、中華じゃいいとこ11時でしょ。
妻は言うでしょう「だったらそこでさっさと帰ってくればいいじゃない。」
だけどそうは行かないのが男の社会。
「せっかく北川さんとお食事できたんだから、もう一軒、行きましょう、
歩いて行かれる所に馴染みの店があるから」
当然言うでしょう接待する側としては。
「僕はもう帰ろうか言ったんだけど、
北川もいいからいいからなんて誘うからついのこのこ」
「帰ってくればいいじゃないって?そうはいかないよ。
ご馳走になっておきながらじゃあはいさようならは出来ないでしょう」
「まあ銀座にしては大衆的っていうか、クラブじゃなくてスナック?
色んな国の女性もたくさんいてさ、カラオケで大盛り上がりさ。
僕?勿論歌いますよ。サザンでもキンキでも」
「ったくしょうがないわね、でも電話くらい出来るでしょ、メールでも」
「いや、気がついて慌ててしたんだよ、でも地下は繋がらないんだよ、ごめん。」
「・・・・・・・・・・・・」
「さっさと食べて早く会社行きなさい、遅れるわよ。もーーう」
こうなればしめたもの、一件落着。
膨らんでいた疑惑度90%は20%に格下げ。
言い訳バンクもさるものながら、行く場所大事だね。
まあその人の年にもよるけど、大抵の場合『銀座』って言っておけばまず大丈夫だね。
女性は銀座って言葉に対してはちょっと身構える所があってやや一目置くんだな。
この人銀座で飲んだり、食べたりするんだ。
つまり銀座は高い、高級だって思ってるんだな。
銀座の夜の女性とはそう簡単に仲良くはなれない、
まあ男として銀座で遊ぶくらいはしょうがないか、と妻は考える。
自分の金にしろ人の金にしろ銀座で遊べる位甲斐性が出来たんだ、と考える。
その裏をかくんだな。
勿論『言い訳銀行』大事です。色々な定期預金あるにこしたことはない。
そして
「じゃあ今度私もその店、飛雁閣連れてって、必ずよ」
安くはない金利を逆に払う羽目になることは覚悟しなくてはならない。
(これはフィクションです。北川さん、東急さん、飛雁閣さんごめんなさい。)
―――なんてね、自分ながらうまく書けた物語だなとは思いますが、
こんなことで、隠し通せる訳がない。
今度機会がありましたら、強かな女性目線で再度検証してみましょう。
2020-08-22 14:47:05
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何が女に想像力を働かせちゃダメなのよ、
よく言うわよ。
想像しなくって分かるわよ。
だいたい聞きもしないのに北川さんとどうのこうの、
吉祥寺の店が旨いだの、
朝の出勤前の時間もないのによく喋るわねって感心してたの。
アンタは政治家じゃないんだから舌先三寸で人を丸め込もうなんて
百年早いわよ!
だいたい「どこ行ってたの?」で「うっ!」って顔してたでしょ、
あれで全てが解るの!ははーんそういう事ね!
後で何をごちゃごちゃ言っても聞いちゃいないわよ。
何年夫婦やってると思ってるのよ。
最近やたら帰り遅いし、出かけにシャツあれこれ選らんだり、
妙に小ざっぱりした恰好して行くし、
こりゃあ何かあると思わない方がおかしいでしょう。
そんなにモテるとは思わないけど、
結構面倒見いいし、色々気使いしいだし、まあマメ、
まー若い子なら引っかかるんじゃないの。
行ったこともない高級レストランだったり大人のバーなんか連れてって
「今夜はもっと君といたい」なんて言うんでしょう。
ったく男って単純よね。
でもそれでのこのこ着いて行っちゃう女の子も女の子、気を付けなさい。
まーーその子にどんだけお金使ったか知らないけど
とりあえず今度の休み銀座でバッグ買ってもらおうかな、シャネルの
あとジミーチュウの靴もいいかな。
前から欲しかったんだ、もちろんイヤとは言わせない、
そんな一回の食事でチャラにしようなんて虫が良すぎるわよ!
これから先も続ける気ならそれなり覚悟することね、
本気で怒らせたらワタシ何するか分からないから!
―――とまあ一刀両断でバッサリ!怖っ、女性の方が一枚も二枚も上手、
こいつは一生尻に敷かれっぱなし間違いない。
2020-08-22 14:45:21
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今年の夏はコロナの影響で全部の花火大会が中止になってしまいました。
寂しい限りです。
サラリーマンの頃ちょっと変わった花火大会に遭遇しました。
それを又載せてみます。
≪ソンエルミエール花火大会≫
―――夏休み真っ最中記録的な暑さが続きますが、
今年も全国で夏の風物詩とも言える≪花火大会≫が各地で催されました。
〝間断の音なき空に星花火〟
私の大好きだった女優『夏目雅子』の代表とも言える俳句です。
都会で見る今の花火は人が多すぎて、それに星空はほとんど見えないので
この歌の風情は感じられません。
小さい頃、私の町でも花火大会がありました。
海岸沿いに大して大きくもないんですが打ち上げられました。
花火を見に行ったものの、その音が怖くて
耳を手で覆いながら空を見上げていました。
花火が出てない時、見上げれば満天の星でした――――まさに星の花火。
怖がっていると思われたくないので、
「ほら、あれが北斗七星その先が北極星だよ」
なんて関係ないことを弟に教えていました―――遠い昔の記憶。
花火で思い出した事がもう一つありあます。
もう30年以上も前のこと。
まだサラリーマンで三越で働いていた時です。
当時夏には三越が主催する≪ソンエルミエール≫花火大会がありました。
南軽井沢レイクニュータウン―――三越の開発した別荘地―――
で行われる花火大会です。
周りを山で囲まれた高原の湖が舞台です。
そこの水上にステージが設けられ、曲が演奏され歌も。
その音楽に合わせて花火が打ち上げられます。
と同時に山の中腹から湖に向かってレーザー光線が放たれます。
―――花火の間は別荘に頼んで灯りを消してもらっていたそうです。
例えば<ジュディオング>が≪♪ Wind is blowing from the Agean 女は海≫
と羽の付いた衣装で歌い上げるとそれに合わせて花火、
曲のクライマックスには仕掛け花火やレーザー光線がここぞとばかりに放たれ
それは、花火に関しては長良川なんかで結構大きなのを見ていて
「へっ、所詮子どもだましみたいな山奥のちぃっちゃな花火なんて」と馬鹿にしていたら、
なんとその眩さ、スペクタクル、優雅さに圧倒。
まさに鳥肌ものです。
ただ何千何万のそして大きな花火に圧倒されるんじゃなくて、
軽井沢の自然の中、その地の利を生かした、
音と光の織り成す一大ショー、ページェント――そうまさにエンターテイメント、
オーバーですが芸術です。
曲に合わせて仕掛け花火が湖を走ったり、打ち上げ花火がまとめて上がったり。
レーザー光線が思いっきりのアクセントになってまるで夢の世界です。
30年たってもあんな花火一度もありません。
今も全国で打ち上げ花火の数と大きさそして新しい技術で競い合っていますが、
このような自然を生かした演出の花火大会はお目にかかったことはありません。
それを30年も前にプロデュースした三越―――岡田社長には頭が下がります。
そして帰り道、
車で国道まで出る道には
10m間隔で三越社員が並んでペンライトを振ってお見送り。
至れり尽くせりの花火大会です。
そうあの頃の三越のパワーは何処に行ってしまったのでしょう。
―――今度かつて全盛期の三越の裏話を書いてみます。
2020-08-07 09:36:48
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『雉撃ち』
(草むらでしゃがんで用を足す格好が似ているので付けられた山言葉)
うん、さっき夕食に食べた赤出し味噌汁、インスタントにしてはうまかったな。
「ちょっと食後にキジでも撃ってくるよ。」連れの男にそう言うと、
テントサイトから縦走路に入ると直ぐ道をそれ、左の藪の中へ入って行った。
膝位の笹の中を適当な場所を探しながら、
そう言えば今日の昼、縦走路脇の小さな無人の山小屋に寄った時、
登山者ノートが置いてあって、昨日の日付けで
<今日縦走路でオヤジを見かけた、気をつけた方がいい。>
と書いてあったのを思い出した。オヤジとは熊のことである。
10月に入っての連休、友達と二人、南アルプスの
甲斐駒、仙丈ケ岳の縦走の山登りに来ていた。
紅葉は盛りを過ぎてその葉を落とし3000メーター級のアルプスは
冬の準備にかかっていた。
熊も冬篭りの準備で人道にも餌を探しに現れたらしい。
やだね、こんな所で熊ちゃんとバッタリなんて、ビックリなんてもんじゃないよ、
ドッキリ、ギックリだよ。イヤイヤ早く済ませて帰ろ。
わざと陽気なフリをして登山靴の先で適当な穴を掘るとズボンのチャックを下ろした。
急いで用を済ませて、ズボンを上げようとしたその時、
10メートル位か後ろで、ガサガサっと藪の中を歩く物音。
ドッキ!さては昨日の熊、現れたか。
恐怖てのあこんなものか、全身の毛が逆立つとはこういうことか、
眞に頭のてっぺんからつま先まで、
体中の毛という毛が全てビンビンに立った感じ。
ズボン上げる間もなく振り向いた。
ガサガサガサ、身の丈2メートルはあろうか、
カッと真っ赤な大口を開けた月の輪熊が
両手をあげ直ぐ後ろに仁王立ちでこちらに向かって来るではないか。
と思いきや、人だ。
頭からウインドヤッケをすっぽり被りゴーグルをして手にはミトン、
リュックのサイドにはピッケルが差してある。
あんぐり口を開けたまま、「あっ、どうも。」慌ててズボンを引き上げた。
相手はこちらを見るふうでもなく、知らん顔で
バサバサ藪の中を尾根沿いに下の方へ降りて行った。
なんだ人だよ、人間だよ、びっくりさせやがって。
心臓が口から飛び出しちゃうかと思ったよ。
しかしなんだよあいつ、人が挨拶してるのに知らん顔で、失敬な。
でもなにか、歩いてていきなし人が糞してるの見ちゃったら、俺でも知らん顔するか、
それもそうだな、ま、熊でなくて良かったよ。でも足はまだ震えていた。
現物と紙を丹念に靴のかかとで埋めてしまうと、もと来た道を下りた。
相棒はもう寝る準備をしていた。すぐに聞いてみた。
「さっき登山者が一人下りて来ただろう?
やたら厳重な格好した奴。」
相手は怪訝そうな顔で、「誰も来ないよ、ずーっとテントの外で
エアマットの空気漏れを調べていたけど、
誰か通れば必ず分かるはず、誰も通ってないよ。」
おっかしいな、あのまま真っ直ぐ下へ来れば必ず我々のテントの横を通る筈なのに、
横へ反れたかな。相棒が聞いた、「どんな格好してた?何が厳重だよ」
「ほら、ゴーグルしてて目出帽の上にウインドヤッケかぶって、まさに冬山よ。」
冬山って言ったとたん、〝はっ〟と、
ひょっとしてもしかして以前新聞で読んだことのある、
冬山の遭難者、の霊?お化け?
ウソっうっひょっ、
背中にぞーっと冷たいものが、だめだ、又足が震えてきた。
「おい、早く寝よ、しっかりテント閉めて!」
―――ほんと、山は人がいるから怖いのかいないから怖いのかよく分かりません。
こんなことも
在学中夏の終わり頃、テント背負って一人東北を旅したことがありました。
岩手山に登ってみようと麓の雫石と言う所
――当時ちょっと前飛行機事故があった場所で
人も何人か亡くなったと記憶してるんですが、
―――にやって来ました。
国民休暇村にバンガロー場があると言うのでそこにテント張って泊ることに、
普段ならグループ連れ、家族連れで賑わっていたんでしょうが、
シーズンオフとあってか誰一人いません。
何十のバンガローがありますが私以外人っ子ひとりいません!
ゴーっという森のさんざめき水場のピチャピチャ他は何の音もありません。
晩ご飯簡単に済ませ早々と寝ることに、
どうもいつもみたいには寝付かれなくて、
なんかいるのかなあ、テントから首を出して眺めていた時
――と突然2,30メートル向こうの黒々したバンガローのドアが
音もなくふわーっと開いた次の瞬間
白い影がスー―っと動いて
うそっ、だ誰っ、こっこっち来ないで!
――と、ふっと消えました、ーーーむろん誰もいやしないーー、
いやあー怖いの何の、頭から寝袋被って寝ました。
まー目の錯覚でしょうが、否確かに見たと、、、―――よくある話。
――――今はとてもそんな一人で山ん中テントで寝るなんて無理無理!
―――そんなことがあっても大学4年の終わり私の卒業旅行は
やはりテント寝袋担いでの南九州一人旅でした。
機会がありましたらその話も披露したいと思います。――昔の話はもういいか?!
2020-08-03 09:15:06
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