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「エピソード―1」

「エピソード―1」

もう10年以上も前のことです。
 
一本の電話が入りまして、この店に来たいから、場所を教えてくれと。
男性の結構年配の方でした。吉祥寺は知らないとおっしゃるので、
丁寧にご案内しました。
 
しばらくすると、杖を突いてゆっくりゆっくり歩いて来られたおじいさん、
「やっと来られた、何せおたくの新宿三越店で買っていた味噌が欲しくても、
店がなくなってしまって買えないじゃないか、しようがないから、
その味噌を探して東京中のデパート全部行ったよ」
 
「だけどどこにも無い、そんな味噌は知りません、なんて言いやがる。」
「困ってもう一度新宿三越で聞いたら、たまたま知ってる店員さんがいて、
吉祥寺でやってるって言うんで、電話番号聞教えてもらって、
やっとの思いで来たんだよ。」
 
――――それはもうわざわざありがとうございます。
 
「そうだよこの味噌だよ、」
「これが気に入って、三越にある間ずーっと買っていたんじゃ。」
「ばあさんも大好きで、どうしてもこの味噌じゃないと駄目だ、なんて言うんだよ」
「もっと早くに聞いておけば良かった。」
 
――――じゃあ、500gひとつお作りします。
「いや、ふたつ作ってくれ」
 
「ひとつは、ばあさんの仏壇に供えるから」
――――  ・・・・・・・・・
 
――――いつお亡くなりになったんですか。
「今日でちょうど一ヶ月だよ」
「ばあさん、今夜は久々、辛子の味噌汁食べような。」
おじいさんの目から涙。
 
こちらもついもらい泣きしてしまいました。
 
大事そうに味噌をかかえて、またゆっくりゆっくり杖を突いて
帰って行かれる姿は忘れられません。
 
都内ある町の大きな文房具屋のご隠居さん、ということでした。
 
 
まあこんなエピソードもある『広島辛子糀味噌』です

2020-05-20 11:44:24

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