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最高のアクセサリー

最高のアクセサリー

『最高のアクセサリー』
 
「はい、誕生日プレゼント。35歳かしら、もうおじさんね、」
「でもとりあえずおめでとう。」
そう言って彼女白い封筒を手渡した。
 
ここは乃木坂に近いとあるクラブ。
会社の2年先輩の叔母に当たる女性がやってると言う、
まそれほど高くは無く、気軽に寄れる店。
彼女を連れて行くのは2回目。
 
開けてみると下北沢の劇場のチケット2枚が入っていた。
≪東京乾電池≫の芝居の指定席券だ。
 
「あっ、どうもありがとう、へええ、芝居のチケット?」
「そう、結構評判良いみたいよ。この日夜仕事入ってないって言ってたわよね。」
「そうだよ、5時半には上がるよ。」
 
「んんーーんそれでね、良かったら私を誘って?!」
 
「えっ、うん。も、もちろん誘うよ。当たり前じゃん、一緒に行こう。」
 
「よーかった、嬉しい!」
「違う人と行くって言われたらどーしよう、ってドキドキしてたの」
 
この大嘘つき、何がドキドキだよ。
俺が絶対誘うと100%分かっててそう言うんだから、よく言うよ。
一人毒付いた。
 
と、いきなり店のママが割り込んできた。
「あーーら、二人して何ごちゃごちゃ話してるのかしら?」
「まあ、東京乾電池じゃない、私この劇団好きなのよ。
ねえ、誰と行くの?私と行こう!連れてって!」
 
いやっ、それはないっすよ。その選択肢はありえない!
 
「私ちょっと、お手洗い。」彼女が出て行ってしまった。
気を悪くしたかな、ちょっと心配。
 
ママと二人きりになると、
「ばかね、行く訳ないじゃない、ちょっとからかっただけよ。」
 
「でも、あの子凄く良い子よ、手放しちゃダメよ。」
「綺麗だけじゃない、センス良いし頭も良い。
なかなかあんな子いないわよ、かなり年も違うでしょ、
あの子未だ女子大生でしょ。でも二人中々良い線いってるわよ。」
 
「仕事柄いろんなカップル見てるし、話したりもするけど、
あそこまで出来た子まずいないわね。
うらやましい、私が男だったら放っとかないね。」
 
「いいこと、あなた位の年の人、よく女性連れてくるけど、
勿論奥さんじゃないわよ、それに関して私は良い悪いは言わない。
でもどうせ連れて歩くなら良い女選びなさい。」
 
「その連れてる女性を見て、私たちその男性を見極めるから。」
 
「どんな立派なスーツ着てロレックスしてても、
連れてる女性、見るからにアホ、スタイル良くてもイマイチ中身ない女、
これだとその男会社ではどんなに偉いか知れないけど、ダメね。
もう体だけじゃんってミエミエ。その男の価値ガタンと下がるわね。」
 
「逆にその人がそんなに身なりは大したことなくても、そう、あなたみたいに」
「連れてる女性がセンス良くて、頭も切れて、ユーモアの分かる
しかも気の付く子だったら、それで人一倍可愛いときたら、
その男性の評価抜群に上がるわよ。」
 
「言ってみれば最高のアクセサリーよ。」
 
「あなた今最高のアクセサリーしてるわ、
あの子に見合う様あんたも仕事、遊び?がんばんなさい!」
 
「お待たせ!あら二人で何の話ですか。乾電池二人で行かはるんですか?」
 
なんでそこで関西弁になるんだよ。
「行かないよ、ママは残念ながらその日は仕事なんだって、ほんと残念。」
 
「あーーら、それで仕方なく私と一緒に?嬉しゅうございますこと。」
 
誕生日プレゼントに芝居のチケットもらうことも初めてだし
《よかったら私を誘って》なんて言われたことも、
なんとも新鮮で、いわゆる胸がキュンと締め付けられて熱くなり、
そしてますます彼女に引かれて行く自分を感じていた。
 
<もちろん、手放しはしない、アクセサリーなんて、そんなんじゃない。
それに仮にどんなダイヤモンドだって敵いはしないさ。>
 
 
 
―――――ほんと、ここまで来ると男の妄想って留まるところを知らない、
って感じかな。中年男のしがない希望?願望?欲望?つまり妄想。
駅に貼られた芝居の広告ポスター見ながら、こんなことあったらなあと、
かなり前にノートに書き込んだものを仕上げてみました。
 

2020-07-14 08:27:07

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