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「エピソード―3」

「エピソード―3」

―――開店して最初に作ったパンフレット(リーフレット)
味噌のことばかりじゃ面白くないので、
味噌を題材にしたショートストーリーを
入れてみようとライターの人にシチュエーションだけ話して
作ってもらったのが気に入らなくて、
結局自分で書く事にしました。
出来た文章がこれです。
うまいへたは抜きにして昔から書くことは好きだったので
以後のリーフレットにも全部自分で書いて載せています。
とにかくデビュー作がこれです。
 
 
『味噌に乾杯p-1』
 
雨が上がって眩しい陽の光が、マンションの中にはっきりとした
コントラストを作り出していた。
「うん、今日あたり行ってみようかな」
今なら素直な気持ちで、やさしく話せるような気がした。
 
彼が1週間の海外出張。
義母とどうもうまくやっていける自信が無くて、結婚以来、
夫と二人暮らしの1年。
未だ夫の実家には一度も立ち寄ったことはなかった。
 
この街は気に入っていた。
駅から家までの15分、ふと気が付いた店があった。
「へえ、味噌ねえ」
ついぞ何年も使ったことがない。
 
昔実家の母は毎日作ってくれた。
とりわけ豆腐と油揚げの味噌汁は好きだった。
しかし、独り暮らしを始め自分で色々な料理を
作るようになって以来、全く使わなくなっていた。
嫌いになった訳ではない、ただ意識の内にないのだ。
 
その店の開かれたドアの奥にある白い陶器の中の味噌は
昔を思い起こさせた。
勧められるまま<信州白味噌>300グラムを
白いカップに入れてもらい買って帰った。
たった一つのレパートリー、豆腐と油揚げの味噌汁を作った。
彼が珍しく上機嫌になった。
「たまにはおふくろに会ってやれよ。」
 
それ以来味噌をよく使うようになった。
ブイヨンの代わりに味噌を使って牛肉と大根のポトフ、
鶏肉をニンニクとバターで炒め、
タラ、カニ、エビ、イカ、ムール貝を入れた
味噌味のブイヤベース、
白味噌のロールキャベツも作った。
 
勿論私の18番<デミグラスソースのビーフシチュー>
彼は大好きだ。いつも喧嘩などしたことない、が、
時に会話が上滑りしていると感じることもあった。
 
でも味噌を使った料理の時は、
なぜか会話が弾んだ、しっくりした。
そして優しくなれた。
なぜだろう。
時に義母の気持ちを思うこともある
今までなかったのに。
 
「じゃあ一度訪ねてみようかな」
気持ちが軽くなった。
お土産は、
義母の故郷仙台の『御用蔵味噌』に決めた。
 
 
―――もう27年も前に書いた文です。
これ以来ですか、どんな文章を書いても平気で
人前に出せるようになりました。
 
とまあこんな風に書きだしたブログが33年も前のことです!
ここで再再度リーフレットに書き込んだ文章を《みそオヤジの独り言》に載せて行きます。

2020-06-15 17:37:25

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