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「エピソード―4」

「エピソード―4」

《味噌に乾杯p-3》
 
『花屋のオープニングパーティーで』
 
「ったく、何なのこのシレッとした冷たい空気は。」
つい一人ごちてしまった。
 
三十台半ばにして大一番、私としては人生を賭けて打って出た、
赤坂のフラワーショップ、のオープニングパーティーだったのだが、
今一番盛り上がらない。
 
三々五々、会社仲間、仕事仲間が二、三人連れでやって来てその時は、
「おめでとう、わー素敵なお店じゃない。」
「凄いオールドローズいっぱいきれいじゃない、
私大好きこの花。がんばってね。」
 
と賑やかなんだけど、いつの間にか仲間同士のひそひそ話しになってしまい、
あながち寒いのは冷房の効きすぎのせいでもない。
 
ちょっと前、代理店の男がドンペリを持って現れた時は
「おおっー凄い、じゃあ乾杯!」と一時大いに盛り上がったものの、
その男の自慢気なフランス話に妙に座が白けてしまい、
より一層静かになってしまった。
 
それにしても遅いなアイツ。
30分位遅れるとは言ってたものの、かれこれ一時間になる。
田舎の高校時代の同期で同じスポーツサークル。
私はマネージャーだった。
 
家が同じ方向でよく一緒に帰った。
背は高くまあ格好いいし、悪くはないなと思ってはいたものの、
二人でラーメン食べる以上の仲にはならなかった。
 
久々の上京で母校の大学に顔を出してから来るなんて言っていたのに、
・・・・・・・来た!
相変わらず飄々として一時間遅れに悪びれる風でもなく、
開口一番、
「なんだよ、花屋にしちゃ色気ないなぁもっと若い子いないの。」
まったく「いいの、ここは飲み屋じゃないんだから。」
 
そして彼「はい、お土産」とケーキ箱を差し出した。
「なにこれ」蓋を開けてみると、懐かしい香りが広がった。
「味噌じゃない。」
 
「そうなんだよ、これがうまいんだ。キュウリに付けて食ってみな。」と、
カップの蓋を開けると、
野菜スティックで味噌をすくって差し出した。
 
「おいしい」
「だろ」
「うん、おいしい、おいしい」
少し塩辛さはあるものの、甘くてこくがあり、まろやかな口当たりで、
洋風の味に慣れた舌に妙に新鮮。
 
「学生の頃よく食べに入った店で味噌もいっぱいあって、
量り売りはカップに入れて売ってくれるんだ」
 
香りに誘われてか、一人二人と寄って来た。
 
「何、何、それ味噌?かわいい、アイスクリームみたい。」
「うまい」「うんおいしい」
「これって麦みそ?」「なつかしい」
 
「おれんちは昔から赤だしみそなんだ。」
「じゃ出身愛知?同じだ」「豆腐の田楽味噌うまいんだ」
 
「いや、なんたって味噌は越後だよ、米が違う。」
「いーーや、信州味噌が一番だよ。」
「ねえねえ、今度家でみそ汁パーティーしない?」
「それいいね」
 
周りがなんとなくざわついてきて、あちらこちらで笑い声が大きくなった。
名刺を出し合ったり、ビールを注ぎ合ったり、
ドンペリ男までが方言丸出しで大声で喋ってる。
 
部屋の温度が上がった。
 
そう言えば、アイツはどこへ行っちゃったのかしら・・・・・・
いたいた、この中の一番可愛い子捕まえて、鼻の下伸ばして喋ってる。
しっかり左手に味噌カップ持って。
 
そうね、今度私もその店とやらへ行ってみよう。
いい男つかまえて、うまい味噌料理作ってやろう。
こう見えても料理結構得意なんだから。
 
――――p-2飛ばしてのp-3これは結構気に入ってる文の一つです。
味噌って人の気持ちを解きほぐしてくれたりもするんですね。

2020-06-16 18:35:35

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